【インタビュー】福士蒼汰、有川浩の名作『旅猫リポート』で主演 猫と旅する優しい青年演じる
『図書館戦争』シリーズをはじめ、『フリーター、家を買う。』『植物図鑑』などの人気作を手がけた作家・有川浩の『旅猫リポート』が満を持して映画化される。
猫がメインキャラクターとして登場し、全編にわたって高度な演技力が求められることから、映像化が困難とされてきた本作。主演を務めるのは、2011年『仮面ライダーフォーゼ』の主人公・如月弦太朗役でTVドラマ初主演を飾り、以降数々のドラマや映画、舞台で主演を務める俳優・福士蒼汰だ。過去には第38回エランドール賞新人賞(2014年)、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞(2015年)などを受賞し、有名映画監督からのオファーも後を絶たない。
『好きっていいなよ。』(2014年)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016年)などの人気恋愛映画に出演してきた福士だが、今回の映画『旅猫リポート』では、なんと“猫”のナナがお相手。ナナの心の声は、女優・高畑充希が熱演する。
原作者である有川浩自身も「一生に一本しか書けない物語」と表現するほど思い入れの強い作品である『旅猫リポート』。原作は、世界16カ国で翻訳・発売されており、イギリス最大書店チェーン・Waterstonesの「The Best Fiction of 2017」にも選ばれた。国内外を問わず、多くの人に感銘を与えている話題作である。
さらに、7月12日から8月2日にかけてカナダのモントリオールで行われた第22回ファンタジア国際映画祭で本作は、観客投票の結果“Bronze Audience Award for Best Asian Film”を受賞。現地の記者からは絶賛の嵐だった。
世界中にファンがいる作品の大役を任された福士。インタビュー中は「最初は演じ方を迷いました」と告白する。“恋愛を超える絆”と絶賛されている原作をどのように受け止め、どう演じたのか。その素顔に迫った。
「福士くんの“素のまま”で」三木監督の言葉に救われた
福士:悟は僕自分から見てもすごく優しくていい奴なんです。そんな優しい悟をどう演じようか悩みました。『旅猫リポート』は悟だけではなく、登場人物みんないい人なんです。そういう作品の中で悟の立ち位置や、演じ方をどうやっていこうか、迷っていました。
――最初は迷いがあった。
福士:でも、本作の三木康一郎監督が「福士くんの“素のまま”でいいよ」とおしゃってくださって。その言葉をベースに自分の中にある動物が好きな気持ちや、人が好きな気持ち、それを素直に表現していいんだなと思いました。
完璧な“いい人”を演じるわけでもなく、セリフと脚本に自分の気持ちが乗っていくような感覚で臨みました。
――過去、福士さんが主演を務めた映画『曇天に笑う』や『BLEACH』などは、アクションシーンがとても多い役でした。今回は、全く違う役柄ですよね。
福士:はい。『曇天に笑う』や『BLEACH』は原作が漫画で、『旅猫リポート』は原作が小説という部分で、ビジュアルの作り方から違います。衣装も今回はナチュラルで、あんまり格好つけない、等身大の服装です。悟の服装をよーく見ると分かるのですが、細かい部分で衣装監修さんの腕が光っています。
――原作ファンとしては雰囲気も全てそのまま「悟だ!」と思ってしまうくらい、悟は福士さんにぴったりな役だと思います。福士さんご自身の中で、悟と重なる部分はありましたか?
福士:自分と悟は「動物好き」と「人との距離の作り方」が似ていると思います。動物は昔から好きで、小学校1年生くらいから高校3年生まで犬を飼っていたんです。
――本映画では竹内結子さんとご共演されていますね。竹内さんが「叔母」という立場で、一生懸命に料理を作って、悟の世話をするシーンもありました。
福士:叔母として悟を養おうとするのですが、悟は悟でそんな叔母に気を遣っているような。すごく微妙な距離感が、実はそこにあるんです。人間関係もすごく奥深い映画です。
――今回、悟の高校時代の同級生役として広瀬アリスさんと大野拓朗さんもご出演しています。広瀬さん、大野さんと制服を着て、高校生を演じた感想は?
福士:あれこそ、青春と言えるシーンだと思います。自分自身、制服を着て演じた高校時代はすごく楽しかったです。そこだけで1本分の映画が作れるんじゃないかと思わせるような。3人の魅力がとても詰まったシーンです。
――広瀬さん、大野さんと川に入るシーンがありましたが、あのシーンはいつロケを行ったのでしょうか?
福士:春前の3月でした。寒かったです(笑)。ペンションのシーンですが、常に寒かったことを覚えています。
――今回「ナナ」という猫が登場して、悟と一緒に旅をします。
福士:今回、猫と長い時間を一緒に過ごすこと自体が初めてだったんです。プライベートでは、全く猫と接する機会がなかったので。抱っこの仕方も分からないくらいでした。
――猫とのふれあいは、ほぼ“未経験”だったとのことですが、演じる中でナナとだんだん意思は通じてきましたか?
福士:最初は難しかったですが、ロケが進むと車でナナと2人っきりになるシーンも増えてきて。現場でトレーナーさんがナナと接している姿を見ながら「こうやって接したらいいんだな」と学びました。
『図書館戦争』当時は19歳 有川浩作品への出演に感謝
――ナナの心の声は、女優の高畑充希さんが演じています。完成した映画を観て、ナナの声はいかがでしたか?
福士:すごく自然で違和感が全くありませんでした。
――今回、福士さんは、作家・有川浩さんの作品において『図書館戦争』(手塚光 役)に続き、2作目の出演になります。
福士:ありがたいご縁を頂いていると思います。『図書館戦争』(2013年)のときは、19歳でした。20代でもまた有川さんの作品に出演させて頂けるということが、とてもうれしいです。
――最後に、福士さんが映画『旅猫リポート』でテーマとして伝えたいことや、映画をこれから観る人に向けてメッセージをお願いします。
福士:人でも動物でも、側にいる相手が自分にとってどういう存在なのか見つめなおす機会になればと思います。この映画では様々な関係と様々な愛情が描かれています。人と人、人と動物、それぞれの愛を感じてもらいたいです。
――本日はありがとうございました。今、たくさんの人たちが映画『旅猫リポート』の公開を待っていると思います。福士さんのこれからのご活躍も応援しています。
協力:ZOO動物プロ
ヘアメイク: Koichi Takahashi(Nestation)
スタイリスト:Yoshiaki Komatsu(nomadica)
(C) 2018「旅猫リポート」製作委員会 (C)有川浩/講談社
写真/山口真由子
テキスト/AbemaTIMES編集部
▼ 映画『旅猫リポート」2018年10月26日(金)より全国ロードショー
猫・ナナのInstagram(@nana_tabineko)も更新中!
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