今週、東京ビッグサイトで葬儀に関する日本最大級のイベント「エンディング産業展」が開催された。昨年の来場者は約2万5000人に達し、４度目となる今回も団塊の世代を中心に多くの人で賑わっていた。
各社のブースには、火葬後の遺骨に含まれる炭素を用いて合成ダイヤを作る機械、AIスピーカーのLINE Clovaを通じて法話を聞くことができるサービスや空中に遺影を映し出すサービスなど、新たなテクノロジーと融合させたアイテムが展示されていた。
中には少子高齢化が進む日本を反映したようなサービスも。自身の経験をもとにゴミ屋敷や孤独死の現場を再現したミニチュアを展示していた「遺品整理クリーンサービス」の小島美羽さんは「自分には関係ないと思っている方に、現実はこうだよと知っていただきたくて」。また、お墓にスマホをかざすと、故人が生前に撮影していた映像がARで表示されるサービスを提供する良心石材の香取良幸さんは「お墓参りする人が少なくなっているので、行きたいなという気持ちになってくれれば」と話していた。
「エンディング産業展」は、関西での開催も予定されているという。
月刊『仏事』元編集長で、葬儀に関する相談・依頼サイト「いい葬儀」の小林憲行編集長は「昔は亡くなった後の話題はタブーというか、家族の間でもあまり話題にしなかった。しかし、"よきにはからって"と言われるのが、家族としては一番困る。"終活"という言葉が馴染んできたことにより、葬儀や供養の方法、お墓について前向きに考えるようになってきた」と話す。
葬儀にかける平均費用（お布施を除いた葬儀費用、飲食代、返礼品の総額）の調査（鎌倉新書調べ）では、2013年に約203万円、2015年に約185万円、そして2017年には約178万円と、節約傾向にあるようだ。
ニーズの多様化を受け、お墓の形も多種多様になってきている。小林氏によると、お墓を月額でレンタルできる「レンタル墓」も登場しているという。また、少子高齢化でお墓を継承・維持できないという理由で、墓所や墓石を撤去・処分する墓じまいが増加している。「70歳くらいの方が３のお墓を管理しているケースもあった。そうなると経済的にも大変だから、一つにまとめたり、納骨堂に移すというケースが増えている」。
東京・台東区の眞敬寺では、1年前に本堂、葬儀場、客殿の機能を持つビルを建設、その中に7000基分を収めた可動式の納骨堂を設置した。お墓の情報はICカードで管理され、カードをかざすと自分の家の墓が現れるという仕組みになっている。「ご本堂や葬儀場、そしてみなさまがくつろげる客殿、そういった全てのことがワンストップでできる。完全バリアフリーとなっており、室内墓所には室内墓所の良さがあると思う」（釋朋宣住職）。
一方、墓じまいや改葬、檀家をやめる際に、長年先祖の供養をしてもらったお礼としてお布施を包む「離檀料」の慣習をめぐるトラブルも多いという。「お墓を一箇所にまとめて他を更地にしてお寺に返したり、地方から都会に持ってくるということで、離檀料をお願いするケースもある。お寺側としては収入が無くなってしまうということでお願いするケースもあるが、関係性がなくなっているためにお互いの経済状況も分からず、トラブルに発展してしまう（小林氏）。
ますます活況を呈す「エンディング市場」の一方、少子高齢化による様々な課題が浮き彫りになる時代、ひとりひとりが家族や自分自身のエンディングについて考える機会が必要だろう。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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