トッププロが集う麻雀リーグ「RTDリーグ 2018」の準決勝が、9月1日からスタートする。WHITE DIVISIONトップ通過で準決勝に進む鈴木たろう(協会)は「比較的いろんな選択肢を使える状況にあるので、昨年よりかなり期待できる」と語り始めた。昨年も準決勝に進出しているのだが「8位という追う立場だったので、やることの幅がけっこう限定されていた」と決勝進出は叶わなかったからだ。
「予選はトップスタートだったことがよかった。リードしている時のほうがあまり無茶をしない」と昨年やりすぎたと自省していた「見逃し」を今年はまだ1回しかやっていないと笑う。多くの人がやらないであろう選択や、オリるであろうところで向かっていく意外性が取り沙汰されることが多いたろうだが「僕の中ではオーソドックスなんですけど」と一笑する。
鈴木の中のオーソドックスとはリスクバランスを指している。「僕の麻雀観は、リスクバランスを考慮して戦うこと。勝つことだけじゃなくて、ゲーム性だったり、システムだったり、相手がどう思っているのかだったり、誰にも負けないぐらいいろんな切り口からリスクバランスを考えています」。
鈴木の戦績で面白いデータがある。副露率25.16%でリーグトップなのだが、副露時アガリ率25.00%と最下位なのだ(トップは佐々木寿人の46.67%)。「自分の手牌を中心に考えることは基本ですが、そこにプラスアルファする要素として、相手の条件は考えたほうがいい。さらに上にいくと、相手が追えるリスクはどのくらいかというのがある」と、鈴木は自身が仕掛けた時、相手の立場からどう見えるのかを、客観視しているという。「相手がリスクを感じるような仕掛けをしたつもりでも、僕に立ち向かってきた人がいたら、こいつはヤベぇと認識しています」とアガるためだけに鳴いているのではないことを明かした。
要するに、相手の速度を見るための仕掛けであったり、仕掛けに対してどのぐらいのリスクを感じているのかを確かめるための仕掛けもあるので、副露時アガリ率が低かったのだ。
準決勝に関しては「猿川(猿川真寿)がマイナススタートなんで、おそらく自分と小林剛ではなく、猿川から見た他5人がターゲットになる。したがって僕と同卓した時は、自分に利する行動を取ってくるだろうから、局面によってはそこを利用しよう」と考え「ただ最初にラスを引いてしまうと、有利な立場ではなくなるので、最初になんとかプラスして、みんなが自分を逃がしてくれる意識を持ってもらえれば、逃げ切りが楽になる」とビジョンを描いている。【福山純生(雀聖アワー)】
◆鈴木たろう(すずき・たろう) 1973年10月4日、茨城県生まれ。B型。日本プロ麻雀協会所属。第15期最強位、第9・11・12・13期雀王、第8回野口恭一郎賞他多数。著書は「迷わず強くなる麻雀」他。異名は「ゼウスの選択」。
【RTDリーグ 2018準決勝進出者の持ち越しポイント】
1位 小林剛(麻将連合)+630.3→315.2
2位 鈴木たろう(協会)+520.1→260.1
3位 勝又健志(連盟)+307.4→+153.7
4位 瀬戸熊直樹(連盟)+218.3→109.2
5位 佐々木寿人(連盟)+200.5→100.3
6位 白鳥翔(連盟)+161.7→80.9
7位 内川幸太郎(連盟)+54.1 →27.1
8位 猿川真寿(連盟)▲139.6→▲69.8
※連盟=日本プロ麻雀連盟、協会=日本プロ麻雀協会
◆RTDリーグ サイバーエージェント代表取締役社長・藤田晋氏が、2016年に立ち上げた長期リーグ戦。各団体のトッププロ15人に加え、芸能界から萩原聖人が参戦。「BLACK DIVISION」「WHITE DIVISION」に分かれ、1人半荘27回戦を行う。上位4人ずつがポイントを半分持ち越して、準決勝に進出。さらに勝ち抜いた4人がポイントをリセットして決勝で争う。今期から新たに降級システムが導入され、各組予選8位は自動降級、各組予選7位は推薦者2人と入れ替え戦を行う。
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