“ロベルト・カルロス氏、Fリーグ参戦”。驚きのニュースが、フットサルファンだけでなくサッカーファンも巻き込んで世間を賑わせている。賛否両論がある中で、実際にピッチに立ってプレーする選手達はどのように感じているのだろうか――。
あくまでも真剣勝負の一戦に
2018年8月17日、Fリーグは元ブラジル代表DFロベルト・カルロス氏(45)の参戦を発表した。9月7日から3日間に渡って行われるDUARIG Fリーグ2018/2019 ディビジョン1 第12節・第13節 共同開催 大阪ラウンドの中で、8日に行われるエキシビジョンマッチに参加。さらに9日に行われる第13節のヴォスクオーレ仙台戦に、Fリーグ選抜のメンバーとして公式戦にも出場する。
今回の発表を受けて、インターネット上ではフットサルファンだけでなくサッカーファンも反応。「あのロベカルが来るのか!」、「悪魔の左脚が見たい」など好意的な意見がある中、「フットサルは現役退いた選手でもできるのか?」、「(フットサル)選手たちも人生かけているんだ」など否定的な意見があることも事実だ。
そういった“外”の意見はどれも至極真っ当だと思う。しかし、実際に選手達は今回の決定についてどのように考えているのだろうか――。
今回、ロベルト・カルロス氏が参戦するFリーグ選抜と対戦するヴォスクオーレ仙台の荒牧太郎キャプテンは、慎重に言葉を選びながらも「ピエロではない」と強く言う。「(ロベルト・カルロス氏招聘は)お客さん集めとの意見がある中で、(ピッチで戦っている)僕らやFリーグ選抜は人生をかけています」。
またGKを務める鈴木紳一朗も荒牧に同調する。「1試合限定というのが……。正直に現役の選手は必死にやっている中で、長く現役を離れた方が参加してどうなのかと。そこは正直に思います」。つまりは2人とも、優勝を争うリーグ戦の大事な1試合の中で、余興的な意味合いが出てきてしまうことに対して不満があるようだ。
しかし、2人とも口を揃えて言うのは「ポジティブな面の方が大きい」ということ。荒牧は「僕らだけではお客さんを呼ぶことが難しい中、あのレベルの選手が協力してくれることは間違いなく心強い。長いリーグの歴史を考えても絶対にプラスになること」とし「彼にとってもリスクがある中で、参戦を決めてくれたことに感謝します」と語る。
鈴木も同様に「自分が小学校や中学校の頃のスーパースター。そういった方とまさか同じピッチで戦えるとは思っていませんでした」と喜びを露に。また「あれだけ世界的に有名な選手がFリーグのピッチに立ってくれることで、リーグが注目を浴びます。その中で僕たちはフットサルの魅力を伝えたい」と肯定的に捉えている。
彼ら以外にもブラジル出身のマルロンは、「セレソンの試合はすべて見ていました。彼は日本でワールドカップを優勝しています。小さい頃から見ていて本当に素晴らしい選手。ブラジル人である自分にとっても本当に大事な試合になるでしょう。同じピッチに立ち、彼と会話することを楽しみにしています」と、母国のレジェンドとの共演に興奮を隠せない。
つまりは、選手たちもネットにある印象と同様に、公式戦の中で現役を退いたレジェンドが出場することに対するネガティブな考え。逆に、Fリーグが大きな注目を浴びるチャンスだとするポジティブな考えの2つを持っている。
しかし3人とも、今回の一戦を余興としては考えていない。荒牧が「彼と対戦できることはラッキーです。ほかのチームの今いる選手たちと同様に、対戦することをすごく楽しみにしています。全力で勝つためにプレーできればと思います」と語れば、鈴木も「みなさんはロベカルのスーパーシュートやFKを期待していると思います。でも自分はGKなのでその期待をいい意味で裏切りたいと思います」と全力でのプレーを誓う。
同様にマルロンも「もちろんリスペクトはしますが、今やっているフットサルを継続して、勝つためにプレーします」と必勝を誓った。
今回の一戦は、試合会場やAbemaTVで多くの人たちが目にするものとなるだろう。ロベルト・カルロス氏がどんなプレーを見せるのか。悪魔の左脚は健在なのか。そういった新たな楽しみがある。しかしその中で、本気で戦うヴォスクオーレ仙台の選手たちのプレーにもぜひ注目して見てもらいたい。きっとフットサルの魅力を伝えてくれるはずだ。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
(C)AbemaTV
AbemaTVでは第11節「Fリーグ選抜 VS 湘南ベルマーレ」、「ペスカドーラ町田 VS アグレミーナ浜松」の2試合を生中継でお届けします。