「どこに行っても、どこに逃げてもバカしかいない。そんな中で誰が一番バカかという闘いですよ」

(高木はキャンプファイヤーに自転車で激突)
KO-Dタッグ王者のMAOは、9月2日のDDT・キャンプ場プロレス(ネイチャーランド オム)をそう振り返った。山梨県の山中にあるキャンプ場で行なわれる路上プロレスはファンにはおなじみだが、今年の闘いは関係者の間でも「特に狂ってた」と評判になっている。
対戦カードはバラモンシュウ&バラモンケイvs遠藤哲哉&マッド・ポーリーvs木高イサミ&阿部史典vsHARASHIMA&上野勇希vsマイク・ベイリー&MAOvs高木三四郎&中澤マイケルという6WAYタッグマッチ。計12人プラス乱入する選手もおり、それぞれがキャンプ場のあちこちで好き勝手に暴れるからタチが悪くも楽しい。

(立てこもった今成に、夏の終わりを告げる花火の一斉射撃。あくまでプロレスの試合中である)
最終的にバラモン兄弟がMAO・ベイリー組に勝利した今回。クライマックスは高木とMAOのカーチェイス&クラッシュであり、つまり交通事故、人身事故である。
過去にも新木場大会でMAOが高木を車ではね飛ばしたことがあったが、今回はさらなる事故も発生してしまう。高木は自転車でキャンプファイヤーに突っ込み、イサミ&阿部はスクーター2ケツで転倒。自動車事故と自転車事故とバイク事故が一気に起きるプロレスの大会はここしかないだろう。
また会場に住み込んでいたライアン・デイビッドソンのテントのシートにはバラモン兄弟によって火がつけられ、上野と小競り合いを展開していた大石真翔が死体で発見される。その傍には、血まみれで石を持った上野が。

(スクーターで盛大にこけまくったイサミ&阿部)
昨年に続いて登場の“キャンプ場に住む相撲の神”樋口和貞は相撲勝負で次々と選手たちをなぎ倒していく。そこに立ちはだかった高木は「言っとくが俺は社長だぞ」と圧力をかけ、観客から“パワハラ”コールが。樋口は当然、手加減なしで勝利。
ガンバレ☆プロレスの今成夢人も昨年同様に乱入。このところ「メタルギアソリッド」、「コマンドー」とミリタリー色の強い試合を見せてきたが、今回は森の中で電動ガンを乱射するあたり「ランボー」1作目を思わせる“一人だけの軍隊”ぶり。
しかしDDTのトラウトマン大佐であるべき高木に情けは一切なく、今成が人質を取って山荘に立てこもると容赦なく花火の一斉射撃。巻き添えを食った中澤マイケルは肛門爆破の餌食にもなった。
ということで整理すると、このキャンプ場プロレスでは以下のような事件が起きたことになる。

(恒例、首4の字の数珠つなぎはポーリーがまとめて逆エビ固め)
自動車事故/自転車事故/バイク事故/火災/殺人事件/パワハラ/銃乱射事件/人質立てこもり事件 これに加えデイビッドソン、マイケルも「死亡」し、実際に僧侶でもある阿部がお経をあげる場面も。そこへイサミが「キリスト教だろ!」と真偽不明のツッコミで顔面蹴り。
どう考えても収集がつかない闘いだったが、終わってみればバラモン兄弟が勝利し、9.23後楽園ホール大会でのタッグ王座挑戦が決定。また10.21両国国技館大会では高木vs MAOのウェポンランブルでの対戦も決まった。考えてみれば、DDTがどうかしてるのはキャンプ場に限らないのであった。タッグ王座戦、ウェポンランブルともに狂った闘いになるのは間違いない。
なお、試合中に「死亡確認」された選手たちだが、終了後には生きていたことが判明した。DDTでは男塾システムを採用しているということだろう。
文・橋本宗洋
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