翁長知事の死去に伴い、今月30日に投開票されることになった沖縄県知事選挙。大きな争点は、在日米軍の普天間基地移設問題、そして沖縄の経済振興策だ。この二つの問題の間で揺れ続ける人々を取材してきた8bit News主宰の堀潤氏は、選挙公示を前に何を思うのか。
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 8月31日、沖縄県が辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認を撤回したまさにその日に僕は辺野古にいて、地元の人たちに話を聞いていた。
 色々なケースがあった。辺野古での基地建設に伴い設定された臨時制限区域の全漁業権を放棄した地元の名護漁協。ある漁師の男性は船を手放し、保証金をもらい、他の仕事を探すことにしたという。すると今度は建設がストップした。保証がなくなったら何をして働くのか。船を買い戻すのか。どうするのか。港の神社に、息子の病気平癒の願掛けに行くおばあちゃんは、治療費を保証金で賄うことを前提にしていた。撤回になったらどうするのか。