10月1日に開幕する麻雀プロリーグ「Mリーグ」に、他の6チームと比べてもひと際「競技麻雀」への思いが熱いのが、博報堂DYメディアパートナーズ・赤坂ドリブンズだ。監督を務める越山剛氏もプロ雀士ということもあり、他企業・チームが、麻雀の認知拡大やイメージアップを口にする中「麻雀をインテリジェンスゲームとして捉えています。Mリーグを通じて、そうしたイメージが広く伝搬していくことを期待しています」と、競技としての純度の高さを強調する。描く未来像も、大人の娯楽からプロが誕生するのではなく、小・中学生のプロ雀士誕生と、壮大なものだった。
日本で人気の将棋、囲碁や海外で広く楽しまれるチェス、ブリッジらと並び、マインドスポーツとして楽しまれることも多い麻雀。日本ではギャンブルのイメージだったり、雀荘への立ち入りが18歳以上だったりと「大人の娯楽」という印象が強かったが、ここに来て少しずつ変化も出始めている。そんなタイミングでのMリーグ誕生に「麻雀のパーセプションチェンジを成し遂げ、マインドスポーツとしての健全な発展をさせるという壮大なビジョンに共鳴しました。また同時に、プレイ人口の幅広さを考察するに、実現可能な構想であると感じました」と、参戦しない選択肢はなかった。
リーグや選手にスポンサーがつき、麻雀が興行や職業として成立することを目指す声が多い中、越山氏は初年度から「当チームがMリーグを通して目指したいのは、Mリーガーへの門戸拡大です」と将来を見ている。「努力と才能により、誰もがトッププロになれる。そんな気運が全国に広がって欲しいです。麻雀という競技特性からして、例えば小学生や中学生がプロ選手、Mリーガーとして活躍することも不可能ではありません。彼らの柔軟な思考や大人を凌駕する記憶力が、麻雀という競技の未来を切り拓くと期待しています」。実際に、柔軟な思考と直感力を併せ持つ天才少年・少女が、マインドスポーツの場で活躍することは十分に可能なこと。「雀荘は18歳から」という概念にとらわれる必要はないのかもしれない。
門戸拡大には、麻雀が広まる上でのボトルネックになりがちな部分を突き詰める必要もある。以前からある負のイメージなのか、点数計算に代表されるルールの複雑さなのか、4人でないと楽しめない機会創出の難しさなのか。「これらを正しくリサーチして課題解決することと、Mリーグが競技としての魅力を発信することの掛け算こそが、ファンや競技人口の増加につながると確信しています」と、大手広告代理店らしく冷静に客観視し、チームがクリアすべき課題も見つけつつある。また、麻雀が持つゲーム性が「ビジネスにも必要な能力と感覚になるもの」とし、このトップリーグでの勝利が、企業イメージの向上につながればと願っている。
Mリーグの門戸拡大を掲げる以上、自分のチームが下位に沈んでは説得力が乏しくなる。この点においては、他のチーム同様に頂点だけを目指して戦う。「プロ競技である以上、勝てる選手でチームを構成することが最も重要です。勝ってこそファンは増え、愛されるチームになれる。村上淳、鈴木たろうは圧倒的な実力とそれを証明する実績があります。園田賢に関しては、一般ファンにはまだ馴染みが薄いかもしれませんが、プロ選手からの評価は非常に高く、村上・鈴木に勝るとも劣らない実力の持ち主です」と、自信は十分だ。
各チーム、トッププロばかりを揃え、計21人が顔を揃えたMリーグ初年度。少年・少女に「あんな麻雀を打ってみたい」「あの舞台で戦ってみたい」と思わせるには、ただ1チームしか手にできない王者の冠が必要だ。
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