20日に投開票が行われた自民党総裁選。国会議員票の81%を獲得した安倍総理だったが、地方票では55%の獲得に留まった。石破元幹事長は「一強一強と言われる中で、決してそうではないということを示したことに大きな意味があったと思う」と語った。
今回の結果について安倍陣営の甘利明・選対事務総長は「党員票はそういう判官贔屓とか、バランス感覚を働かせようという感覚は議員票でも相当強く働く。石破さんのメンツも立った。これがコテンパンだったらメンツもない」とコメント。その一方、麻生太郎副総理は「選挙は勝てばいい。内容がどうのこうのっていうのは、マスコミが後から付け足した話だ」「善戦なんて思ったことないね」などと話している。
22日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した政治評論家の有馬晴海氏は「議員票が8:2だったので、本来であれば党員票も8:2に近いだろうと考えられる。6年間総理をやってきて、モリカケ問題など色々あったが、大きな落ち度や致命傷がないという現職の総理を相手にこれだけ地方票を取れた。"安倍さんダメなんじゃないの"と思っている人が相当いたと思う」と話す。
自民党麻生派の武見敬三・参議院議員は「安倍さんをしっかり応援する立場としては、もうちょっと取れたかなと思った。石破さんはよく取ったと思う」とした上で、「親分(麻生氏)ともよく話をするが、ああいう風に強気なことを言うのは彼の性格だし、言っていることも全て間違いではない。総裁選というのは真剣勝負だ。冷や飯を食わす食わされる食わされないみたいな甘い考えで戦うのはどうか、というのも一面では真理だ。昔なら負ければ首をはねられたんだから。総裁選後の党役員会で、安倍さんは"改めてこの結果を真摯に謙虚に受け止め、丁寧に次の段階に進んでいきたい"とはっきり言っていた」と明かした。
一方、自民党石破派の後藤田正純・衆議院議員は、20票あまりの議員票を上乗せできたことについて「国民の声に近い議員がこれだけいたというのはうれしいし、ありがたかった。地方票ついては業界団体も締め上げてゴリゴリにやって、総理は僕の地元の徳島にも来た。それでも徳島では石破さんが勝ったし、この結果なので、石破氏支持はすごいと思う」と振り返った。
安倍総理の勝因について武見氏は「なぜ多くの議員や派閥の人たちが安倍さんを支援したのかというと、経済政策でまさに出口戦略に入ろうとしている中、安定政権でないとできないだろうという認識が議員にあったからだと思う。もう一つは、安倍さんの外交手腕に対する期待があった。北朝鮮の核・弾道ミサイルの開発は止まらないだろう、中国の軍事的膨張は止まらないだろうという中、アメリカのトランプ政権がいつまでアジアにおける軍事的プレゼンスを維持するか分からない。この極めて不透明な時に、個人的にも外交能力を発揮できる安倍さんが舵を握るべきだという認識があった。そうでないと、いくら何でも派閥の上の人が"安倍さんにしろ"と言っても、みんなが尻尾を振って"安倍さんに"とはならない。石破さんは地方再生についてはおっしゃっていたが、金融政策、出口対策をどのように組み立てるのかを議論の中では深められなかった」との見方を示し、「失われた20年、野党の政権に対する国民の大失望を受け止めた形で安定政権をしっかりと作り、経済の混乱した状況に終止符を打ち、デフレからの脱却にもとりあえずは一定の成果を挙げてきた。外交についても、他の主要な先進国の指導者と互角以上にやり合えるだけの指導力を築いてきた。このことはちゃんと評価してあげていいのでは」と話した。
武見氏の話を受け後藤田氏は「それでいうと、論戦がもっとほしかった、一週間ずれていれば台風対策、震災対策、ロシアの議論も含めてできたと思う。自民党総裁、すなわち総理大臣を決める時に、なぜ外遊を入れるのか。本人がリングに上がらず、他の人たちがワイワイ言うのではダメだ。そういう時間を作らなかったことに対して、我々は不満をもっている。安倍さんは『賃金が上がった。有効求人倍率が上がった』というが、この裏側にあるのは労働人口の減少だ。特に地方で労働人口が減り、人口が減り、東京一極集中。この裏側について石破さんは地方創生をずっと言っていたが、安倍さんは"有効求人倍率が上がった"ばかりだった。もちろん、今までの実績ですばらしいところはあると思うが、これから本当に大丈夫なのか。大変な借金を引き継いで、自由民主党=Liberal Democratic Partyではなく、最後の晩餐=Last Dinner Partyをして後は頼む、政権を譲ってしまうということだけはやってはいけない。それが今回の我々の想定を超えた国会議員票、党員の皆様の支持だと思う。これをしっかりと血と肉になるような受け止め方をしないといけないと思う」と訴えた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)