
24日朝、新潮社本社の近くの看板に落書きが見つかり、午前中のうちにブルーシートに覆われ見えなくなった。同社の『新潮45』が掲載した、LGBTの人々には生産性がないとする杉田水脈・衆院議員を擁護する特集記事への抗議ではないかとみられ、新潮文庫のおなじみのキャッチーコピー「Yonda?」の上に、「あのヘイト本、」と書かれていた。

この落書きに対し、ネット上には「ただの犯罪にすぎない!!」といった批判の一方、「落書きの真髄を見た!!もはやアートの世界!」「犯罪なんだろうけどセンスがある」といった擁護の声も見られた。
講談社で『週刊現代』『FRIDAY』などの編集部に所属した経験のある瀬尾傑・スマートニュースメディア研究所所長は「僕は絶対に許せない。言論に対する挑戦で、笑って見過ごせる問題だとは思えない」と厳しく批判する。

「杉田議員の記事も、それを擁護する今月号の記事も読んだが、いずれも正直言ってひどい記事だった。事実誤認もあるし、他人を平気で傷つけ人権も侵害している。しかし、この落書きがそれらに対する批判なのであれば、やはり言論で批判すべきだ。"アートだから"と擁護する声もあるが、仮にそうだったとしてもセンスがない。他人の家に入り込んでやるものではないし、自分のホームページを作ってやるなど、別の方法があったはずだ。明らかに器物損壊だし、犯罪として厳しく取り締まるべきだし、犯罪行為を助長するようなものはアートだとは認めがたい。"小さな一歩だから"といってこれを笑って済ませてしまえば、何をしてもいいということになる。みんな"新潮社だからしょうがない"と思っているのかもしれないが、例えば自分の発言が気に入らないからといって、家の表札に落書きをされたら恐怖を感じるだろうし、二度とそういう発言をしないようと思うのではないか。差別をしてはいけないのと同じように、言論に対してこういう暴力行為、犯罪行為は断じてしていけないということを理解してほしい」。
元フジテレビアナウンサーの菊間千乃弁護士も「刑法の器物損壊罪や軽犯罪法違反にもあたる。自分と違う意見を発する事を力づくで封じ込めるやり方は本当に嫌だなと思う。もし新潮社の雑誌に対して意見があってこういうことをしたのなら、こういう形ではない反論がふさわしいと思う」との考えを示し、司会のテレビ朝日・小松靖アナウンサーは「先週、『新潮45』の特集企画に寄稿した一人である小川榮太郎さんと、LGBTの当事者である明治大学の鈴木賢教授に来ていただいて議論した。鈴木さんからは事実誤認や使ってはいけない表現があるという指摘があったし。小川さんからは理解や制度変更が進むことによって良い社会を目指すのがゴールだからという意見があった。もちろん小川さんの記事の内容や発言には様々な批判があるが、ルールの整った土俵で議論を行うことが大事だと思う」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)