
AbemaTV『橋下徹の即リプ!』で、橋下氏と元日本経済新聞記者の鈴木涼美が、被災地取材について意見を交わした。
視聴者から寄せられた「被災地取材規制をすべき。被災者のプライバシー保護や上空の報道ヘリが邪魔という意見が多数ある」という意見に元日本経済新聞記者の鈴木は「昔は被災地や、刑事事件の被害者遺族の取材には否定派だった」と明かす。

鈴木は「ちょうど2011年の東日本大震災のとき、会社から指示されて被災地の福島県双葉町に毎週行っていた。本当はもっと取材を控える“サイレント期間”が必要なんじゃないかと思っていた。でも行ったら、現地の人たちが温かく迎えてくれて『話し相手が欲しかった』『これ言っておいてよ記者さん!』って向こうから来てくれる人がいた」と当時を振り返る。続けて「そういう人たちもいるから一概には言えないですよね。今は被災地の取材を完全に否定する気持ちはない」と、被災地の取材を続ける上で自身の考えが変わったことを明かした。
さらに今年は9月6日に北海道胆振東部地震が発生。この地震の取材行為についても、鈴木は「取材に行ったアナウンサーの人が泥にはまって助けてもらったという報道があった。被災地の人たちってとても仕事が多いのに、仕事を増やしてしまったら元も子もない」と苦言。さらに「記者も現地でしか感じられない空気や、そこでしか伝えられないことがあるから行く。『今ちょっと聞かれると辛い』と思っている人への取材は、常にせめぎ合いというか、難しいですよね」と、元記者として意見を述べた。

橋下氏は「僕はメディアが、報道と取材の自由をもっと憲法論的に勉強しないといけないと思う。立場上、いろいろなメディアの人たちと会話をするけど、表現・報道・取材の自由についてみんなしっかり勉強していない」と、メディア側の勉強不足を指摘する。
過去、大阪府知事や大阪市長を務めていた橋下氏は「例えば僕は知事をやっていたので、知事など“権力”がある人は取材を拒否することはできない。“権力”が適切に使われているかどうかチェックすることは、民主主義の要なので、メディアの取材は基本拒否はできません。メディアはガンガン取材していけばいい」と、自身を例に出して解説。
一方で、橋下氏は「ただ一般人には“プライバシーの自由”がある。表現・報道・取材の自由は権力者に対して言うべきものであって、一般の人に言う話じゃない。被災地の人は(取材を受けたくない場合)『取材は受けられません』ってビシッて言ってください。メディアの人も被災地の状況を取材したい思いがあるだろうけれど、被災者の方々は『ここから先のヘリは上空何メートル以上で飛んでくれ』『被災地の状況を映すならここから外にしてくれ』って言う権利がある。被災者たちの“空間権”をきちっと守る。それをメディア側が『表現と報道の自由がない』と言うのは、僕は反対です」と、一般人への取材に対しては表現と報道の自由を主張するべきではないと断言した。
さらに「お亡くなりになった方などに関する取材はご遺族の同意があって初めて受けていただくもの。メディア側は『名前を出すことでリアルさが伝わる』とよく言うけれど、そんなのはメディア側の勝手な思いなんですよ。大きな勘違いです」と自身の見解を明かす橋下氏。「毎日たくさん報道がある中で、今遺族の名前や被害者の名前を覚えていますか? 僕ら全然覚えてないですよ。だから実名(の報道)なんてなくていいんです」と、メディアの実名報道について熱く語った。
(AbemaTV/『橋下徹の即リプ!』より)






