明日10月1日に、麻雀の新時代到来となるプロリーグ「Mリーグ」が開幕する。7チーム、計21選手の中で、最も注目を集めているのが、俳優としても活躍する萩原聖人だ。Mリーグ設立の知らせを受け、資格を得るために長年見合わせていたプロ雀士になることを決断。日本プロ麻雀連盟に入り、8月7日のドラフト会議では1巡目でTEAM RAIDEN / 雷電から指名を受けた。その萩原は、緊張の開幕前日まで、俳優として盛岡で舞台に立っているという。「帰りの新幹線の中で、ドキドキしてきたりするんじゃないですか」と“二足の革靴”を履く男は、どれほどの思いでMリーグに向き合っているのか。
9月中旬。取材を受けた時に、萩原の中ではまだ開幕が近づいているという実感が沸いていなかった。「ワクワクしているところと、バタバタしている部分と、いろんなものが詰まったっていう感じなのが正直なところですね」と、まだ雀士・萩原の戦闘モードではなかった。それでも俳優としても十分に多忙な日々を送る中、初代Mリーガーの最注目株として、各種媒体から来る取材依頼にも「麻雀のことをしゃべっていいなら(笑)」と、Mリーグの普及のために積極的に応じている。
麻雀一本で生きてきたような凄腕が集まったMリーグにあって、萩原のような存在は唯一無二とも言える。プロ宣言した際に自ら「二束の革靴」と表現したように、俳優業とMリーガーの両立は過酷そのものだ。「(9月30日は)今やっている芝居の大千秋楽で、盛岡にいるんですよ(苦笑)次の日の朝に大至急で帰ってくるんです。でも開幕前に余計なことを考えなくていいのかなって。最後のステージでお客様に最高のものを届けます。全て終わってからMリーグに行けるので、そこが最初の切り替えになるかもしれないですね」。俳優としての仕事を終えた直後であれば肉体的な疲労はピークだろうが、萩原の精神力は肉体を凌駕する。「モチベーションだけで生きていますから。体力的には結構きついですが、精神的には本当に健やか。毎日、疲れ楽しいです」。そう言ってのける男だ。
もともと「麻雀を打つことを人に見せる」という点において、プロ雀士以上に高いプロ意識を持っている。「ドラマも映画も舞台もMリーグも、見てもらわないと意味がないですよ。どんなにいいものを作ろうが、どんなにおもしろい麻雀を打とうが。じゃあどうやって見てもらう人を増やすか。今までも見てくれていたファンの方はもちろんありがたいんですが、新規をどう獲得するか。これは(Mリーグ)藤田晋チェアマンに投げかけられた、すごい難題なんだと思っています」。プロであれば麻雀は強くて当たり前。ただ勝つだけでなく、いかにファンの心を掴むか。自分1人が意識するものではなく、これはチームメイト、さらには21人のMリーガー全員が意識すべきことだと思っている。実際にチームのミーティングでも「勝ち負けの話は今さらナンセンス。Mリーグにおける我々とはなんだみたいな、共通言語だけ確認しました」と、意思統一だけに専念したという。
長年に渡り、強く激しい麻雀をテレビ対局で見せ続けてきた萩原。その萩原をもってして「今までのどんな大会の決勝よりも、この開幕戦は麻雀の歴史上、一番注目されると思います」と、この一戦に未体験の重みを感じている。チームの優勝、個人のMVP。各選手が様々な抱負を語る中で、麻雀界の未来を創出しようとする萩原の目は、言葉を発するごとに鋭さを増していた。
◆萩原聖人(はぎわら・まさと)1971年8月21日、神奈川県生まれ。B型。アルファエージェンシー所属。俳優。日本プロ麻雀連盟所属。麻雀番組「芸能界麻雀最強位決定戦 THEわれめDEポン 生スペシャル」では「われポンキング」の異名を取り、優勝回数歴代1位(2017年終了時)。「第1回麻雀大王位決定戦」優勝等、メディア対局でも無類の強さを誇る。
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