9月30日に開催された「RIZIN.13」(さいたまスーパーアリーナ)で、女子戦線に大きな動きがあった。
(RIZIN2連勝を飾った浜崎。大会一夜明け会見にて)
この日の注目カードの一つが、浜崎朱加vs黒部三奈。アメリカの女子団体インヴィクタでチャンピオンになった浜崎は、いわば世界を制した存在だ。対する黒部は日本の女子イベントDEEP JEWELSのベルトを持つ。
RIZINには昨年の女子GPで優勝した浅倉カンナ、シュートボクシングから参戦しているRENAという人気選手がいるが、浜崎と黒部の対戦は“実力日本一決定戦”とも言うべき試合だった。
浜崎はこれがRIZIN2戦目、黒部は初参戦。そんなタイミングで対戦が組まれるシビアさもRIZINの魅力かもしれない。浜崎は戦前から「世界で闘ってきた強さを見せたい」と意気込みを語っていた。
実力者同士の対戦は、しかし予想以上に差のある展開に。序盤から浜崎がパンチでラッシュをかけ、組みついてきた黒部の動きを封じるとパンチ、ヒザを叩き込んでいく。
粘り強い戦いが身上の黒部はこの劣勢を脱出し、タックルで押し込んでいくが、ここでも浜崎が冷静に対処する。バックを取られながら相手の腕を掴み、体制を反転させる桜庭和志式のアームロックだ。
もともと得意だというこの技がガッチリと極まり、浜崎は1ラウンドで一本勝ち。圧倒的としか言いようがない勝利だった。これが“世界”の強さということか。
大会翌日に行なわれた一夜明け会見にも出席した浜崎は、さっそく「大晦日の大会にも出たいです」とアピール。対戦相手には「浅倉選手」とGP覇者にしてRENAに連勝したニュースターを指名した。
一般的な知名度、RIZINでの実績で言えば浅倉。しかしキャリア全体では浜崎が“格上”だ。実際、浜崎自身にもその両方の気持ちがあるという。RIZINのトップである浅倉に挑むと同時に、世界王者となったプライドもあるのだ。
大晦日に組まれるかどうかはまだ未定だが、榊原信行実行委員長も浜崎vs浅倉について「いずれやらなくてはいけない」と語っている。
トップ対決であり新旧対決、どちらも挑む立場。日本女子MMA最高の対決は、果たしてどのタイミングで行なわれるのか。実現を待ちたい。
文・橋本宗洋