(強豪相手にプロデビュー戦を行う椿)
「格闘代理戦争 2ndシーズン」に青木真也推薦選手として登場、話題となった椿飛鳥が10月11日の「ONE WARRIOR SERIES」(以下OWS)シンガポール大会でプロデュー戦を行なう。今年1月、OWSのトライアウトに合格している椿。これからはプロとして、ONEとの正式契約をかけた道を進むことに。
対戦相手のANVAR AMIRLIは7戦全勝、6試合でフィニッシュしている強豪。いきなりの試練にどう立ち向かうのか。プロとしての将来をどう思い描いているのか。椿にインタビューしてみた。
――ここからプロキャリアがスタートするわけですが、「いつまでにこうなっていたい」という目標設定はどう考えていますか?
椿 今はまず、1年後までにONEと正式契約することですね。
――今回はトライアウト合格者として組まれた試合なので、次の目標はそこですね。
椿 そこからタイトル。青木さんに言われたように、26歳で格闘技で生計を立てるとなると、3年後にはタイトルマッチができるような選手になっていたいですね。今の自分の実力から考えると「大丈夫かな……」とも思うんですけど、ネガティブになってても仕方ないので。
――その目標のためにどう努力していくか、ですね。
椿 それに、今のところ目標は前倒しできているので。
――海外での試合に関してはどう捉えてますか? MMAをやってる以上、どこかのタイミングであることという感じですか、世代的にも。
椿 そういう感じはしますね。僕は川那子(祐輔)さんと練習させてもらって、憧れてきたんですけど川那子さんはLEGEND FCからONE、海外が主戦場なので。そういう選手を見てるので「日本で何戦かして、結果を出して海外へ」とは思ってましたね。あとは稼ぐっていう意味でも海外だなって。移動とか計量とかは国内がいいのかなっていう気持ちもあったんですよ、「格闘代理戦争」が終わってから。でも結局、楽かどうか、自分のホームかどうかは関係ないなって。それを考えるような立場でもないし、そこまでの実力でもないよなって。
――「日本で勝てても海外の大舞台では通用しなかった」では意味がないですし。
椿 現時点で「どっちが勝てそうか」って考えてても先がないなって。考えなきゃいけないのは1年後、2年後の戦績じゃなくもっと先、格闘家としてのキャリア全体でもあるので。だからONEで、海外の強い選手と闘ってプロデビューっていうのが一番いい選択じゃないかって思いました。
――しかしデビュー戦で7戦全勝の相手と対戦するのは凄いですね。椿選手の実力が買われているのか……。
椿 咬ませ犬か(笑)。どっちなんだと思って。戦績を見たら7勝2KO4S(一本)で「えっ!?」ていう。青木さんも「厳しい相手だな」と。ただ「厳しいのを踏まえて、どうする?」って言われました。勝つ確率は低いし不利だけど、それも含めて自分で考えろと。
――あくまで「自分で考えて決めろ」というスタンスなんですね。
椿 はい、それで決めましたね、最終的に。不利だけど、勝ったらデカいじゃないですか。デビュー戦の俺が、7戦全勝6フィニッシュの選手に勝ったら、OWSを飛び越えてONE Championshipと一発契約もあるかなって。
――勝てば一気にプロとして軌道に乗りますよね。
椿 「格闘代理戦争」で大きなチャンスを逃してしまったので、ここを取りたいっていう気持ちも大きいですね。
――不利な試合と思われる中で「こういう闘いができれば」というプランはありますか。
椿 僕はジャブとローが得意なので、この2つを当てて寝技に持ち込ませないことです。ジャブとローで削っていって、最後にフィニッシュできればベストかなと。
――組ませないためには、まずジャブと蹴りで距離を支配するのが大事ですよね。
椿 本当に距離がポイントですね。ジャブ、ロー、ステップを使っていかに距離を間違えないか。
――そうなると本当に集中力が要る闘いですね。
椿 一発で倒せるような相手じゃないし、僕もそういうタイプではないので。フィニッシュも無理に狙いにいくわけではなくて。青木さんに教わったんですけど「フィニッシュは相手が差し出してくれるもの」だって。「自分から取りにいくんじゃなく、相手が差し出してくるように」っていう試合をしたいですね。
――青木選手から教わったことができるかどうかという試合でもあるんですね。
椿 丁寧に丁寧にいきたいと思います。僕としてはデビュー戦で失うものはない、ノーリスク・ハイリターンな試合なんですけど。
――だからと言ってギャンブルではないと。
椿 リターンのためには丁寧に、ですね。