投票期間が9月4日から10月28日までと長期にわたる「DDTドラマティック総選挙2018」が、いよいよ佳境を迎えようとしている。選手は10月21日の両国国技館大会、28日の後楽園大会でどれだけインパクトを残すかが大事な勝負になってくるだろう。
(東京女子プロレスの10.8下北沢大会ではヒナノに快勝した伊藤。着実に上げてきた地力を両国大会でもぶつけたい)
(C)DDTプロレスリング
10日の生中継大会「DDT LIVE! マジ卍」(新木場1st RING)では、最後の中間発表が行なわれた。ユニット部門では僅差ながらDAMNATIONを逆転して酒呑童子が1位に。一方、個人部門では第1回中間発表から変わらず、伊藤麻希がトップをキープしている。
総選挙エントリー以来、DDTでの試合も何度か組まれてはいるものの、伊藤の主戦場は東京女子プロレス。DDT以外では投票用紙が配られないという不利の中での首位快走だ。
ただし、前回の中間発表から1位と2位の差が大きく縮まっているのも見逃せない。伊藤627票、2位の高梨将弘が514票。まだ100票以上の差があるとはいえ、票の伸び率では高梨が大きく上回った。
今回の発表までには、SKE48・松村香織のアイアンマンヘビーメタル級王座奪取を受けて伊藤が「2位狙い」を示唆するようなツイートも。総選挙1位の選手にはKO-D無差別級王座への挑戦権が与えられるが、2位はそれ以外のベルトを選んで挑戦できる。過去にも「豆腐プロレス」に出演&対戦要求してきた伊藤にとっては、松村は見過ごせないターゲットだったわけだ。それは“プロレスラー”と“プロレスラー役”を混同しているように見える「豆腐プロレス」サイドへの“本職”としてのプライドの示し方でもある。
しかし1位、KO-D無差別を狙わないという姿勢に高梨が「本気で言ってたなら残念」とツイート。その上で「圧倒的に上にいる選手からこういわれたら 燃えるよね」とも。
伊藤自身、「応援してくれる人を思うとクソだなと思ったので」と2位狙いを撤回。あらためて1位を狙うことを表明したが、この件からも分かるのは伊藤がすでに“追われる側”だということ。デビュー2年足らずの伊藤だが、総選挙においては暫定1位だ。あらゆる試合、行動、言葉が注目される。うかつなことはできないし、言えない。まして試合を見る目はどんどん厳しくなってくるはず。
そう考えると、10.21両国大会のカード、赤井沙希&伊藤vs里村明衣子&カサンドラ宮城は重要だ。“女子プロレス界の横綱”里村との対戦だけに、闘いぶりによって伊藤が大きく株を上げる可能性がある一方、徹底的にやり込められてしまう危険性も。カサンドラに存在感で食われてしまうことも考えられる。この試合、単に“いい経験”では終わらないかもしれない。
票差が縮まった状況に、伊藤は以下のツイート。
「ここからは接戦
投票してくださいとしか言えない能無しじゃねえから、自分はこれからも試合で結果出すことを目標に。
君は感動したらついてきて」
あくまで自分の力で投票させてみせる、1位を勝ち取ってみせるという伊藤らしい決意表明だ。今回の最終中間発表では、高梨以上に票を伸ばした彰人が3位に躍進。三つ巴の状況で投票が活発化することも予想される。
やはり女子選手初の総選挙1位は簡単なことではない。だが、だからこそ達成すれば快挙なのだ。
文・橋本宗洋