元WBO世界バンタム級王者で亀田3兄弟の三男・亀田和毅(協栄=27)と、スペインのアビゲイル・メディナ(30)によるWBC世界スーパーバンタム級暫定王座戦(11月12日・後楽園ホール)が、AbemaTVで独占生中継されることが発表された。番組名は「亀田家 大復活の日~亀田和毅vsメディナ WBC世界Sバンタム級暫定王座決定戦~」。約3年ぶりに世界タイトル戦のリングに立つ和毅を見守る長男・亀田興毅は、どんな気持ちでこの試合を迎えるのだろうか。目の前に迫った“亀田家大復活”に向けて“浪速乃闘拳”がその思いを語ってくれた。
――和毅さんにとっても、そして亀田家にとっても、約3年ぶりの世界タイトル戦がついに決まりました。決して短くない空白期間だったと思いますが、まずこの3年を振り返っていただけますか?
誰よりも和毅本人が一番「長かったな」と感じていると思います。俺自身は忙しかったから、意外とあっという間でした(笑)。やっぱりボクシングは選手が主役やから、周りの人間どうこうよりも本人の気持ちですよね。家族としては「早く世界戦を組んであげたいな」という思いはありましたけど、和毅の名前が海外で売れてしまっていることもあり、各団体のチャンピオンたちが試合を受けてくれなかったんです。自分たちに力があれば、もっと早く世界戦を組めたかもしれません。でも和毅はなにも文句を言わずに信じてついてきてくれました。ようやくこうして世界戦が決まったので、あとは和毅が結果を出すだけですね。
――先日の会見では「日本で亀田家の大復活を」という言葉もありました。やはり“日本”で世界タイトル戦ができるというのは、感慨深いものがあるのでしょうか?
2013年の12月から、亀田家は日本で世界タイトル戦をやっていないんですよ。日本のボクシング界から追放されて、去年ようやく和毅が日本で“プチ復活”してノンタイトル戦をやりました。そして今回の世界戦でベルトを取れば、いよいよ亀田家の“大復活”と言えますよね。もちろんこれがゴールじゃないですが、まずはスタートラインに立たないことには何も始まらないですから。
――そのスタートラインに立つまでに、興毅さんご自身もさまざまな仕掛けを打ってきました。「亀田興毅に勝ったら1000万円」に始まり、今年の5月にはポンサクレック選手とも再戦。そういった活動が今回の世界タイトル戦につながった部分もあるのでしょうか?
日本のボクシング自体が、今ちょっとしたピンチじゃないですか。フジテレビは井上選手と村田選手の試合をやっていますけど、それ以外の地上波の放送はどんどん少なくなってきています。そんな状況だからこそ、興業を打つ自分たちはボクシングの面白さを伝えていかないといけない。そこでAbemaTVさんと組んで、いろいろなことをさせてもらったんです。もちろん最初から世界タイトル戦は無理なので、「亀田興毅に勝ったら1000万円」という企画で始まって、いろいろと難しいルールがある中で少しずつお互いに歩み寄って、絆が生まれて……。それがようやく形になったのが今回の試合だと思います。
――ボクシング界に対して強い危機感を抱いている興毅さんは、TFC(東京ファイトクラブ)のイベントプロデューサーも務められています。今後、どのように日本のボクシング界を盛り上げていきたいと考えていますか?
選手の露出をもっともっと増やしていってあげないとダメですよね。知名度のない選手が「今度日本タイトル戦やるんで応援してください!」と言っても、知り合いくらいしか応援しないですよ。もちろんチケットも売れないし、スポンサーもつかない。ファイトマネーが少ないのも当たり前ですよね。だからこそ露出が大事なんです。たとえば、和毅の世界戦の前の4回戦の試合をAbemaTVで放送しても、視聴者はそんなに多くないかもしれません。でも彼らからすれば少しは露出できるわけですし、もしかしたら誰かがダイヤの原石で世界チャンピオンになるかもしれない。そんなことを継続的にやっていけたらいいなと思っています。
――亀田3兄弟で、これまでに計6本の世界のベルトを獲得しています。改めて亀田家にとって「世界チャンピオンであること」の意味を教えてください。
世界のベルトは、ボクシングをやってきたひとつの証です。でも、ただそれだけですよ。もちろん世界チャンピオンという記録も大事ですけど、やっぱり人々の記憶に残るようなスーパースターにならなアカン。和毅にはそういうボクサーになってほしいですね。
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