俳優の村上虹郎が今、熱い。TBS系連続テレビドラマ「この世界の片隅に」でのヒロインに淡い思いを抱く海軍水兵・水原哲の余韻も冷めやらぬ中、モノクロ映画『銃』(11月17日公開)では、拾った拳銃を持て余す大学生トオルの静かなる狂気を体現している。しかも父親で俳優の村上淳と2度目の親子共演。「対峙の心境が前回とは違う」という心構えの変化について聞いた。
 前回の共演は、カンヌ常連でドキュメントチックな演出を施す河瀨直美監督による映画『2つ目の窓』(2014)。虹郎にとって映画初出演にして初主演の俳優デビュー作だ。「前回はド素人対俳優で、共演というか化学反応という感じ。そういった意味では、俳優対俳優として対峙するのは今回が初めてといえる」。あれから少なからずキャリアを積んだという自負がある分、約3年ぶりの共演に思い入れも強い。配役が決まった際は「オヤジか!と笑ったけれど、腑に落ちた部分もある。重要なシーンでの共演だし、親子共演は作品としても最大のフックになるから」と気合もみなぎった。