2004年の第1シリーズ「ふたりはプリキュア」から、現在オンエア中の最新シリーズ「HUGっと!―プリキュア」まで、歴代15作品、55人のプリキュアが大集合する『映画HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』(「・」は正式にはハートマーク)。55人のプリキュアの前に立ちはだかるのが、最強の敵・ミデンだ。次々プリキュアの想い出を奪いを、その口癖もコピーする難役に挑戦するのは、声優・宮野真守

 声優として「DEATH NOTE」の夜神月役や「銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅」のラインハルト・フォン・ローエングラム役など、数々の人気作で主演。アニメや吹き替えのみならず、劇団☆新感線の「髑髏城の七人」 Season月」では主役の捨之介を演じ、話題に。さらにアーティストとしても活動し、ライブはいつも満員御礼。

 多彩な活躍を見せる宮野が、どう「プリキュア」のメモリアル作品に挑んだのか―。公開を前に、たっぷり語ってもらった。

男の子の心もガッチリつかんだ「ふたりはプリキュア」

――宮野さんは、「プリキュア」シリーズ初出演。決まったときのお気持ちをお聞かせください。

宮野:15年前、シリーズ第1作「ふたりはプリキュア」が放送された当時、僕も楽しく見させていただいていました。その大好きな「プリキュア」作品に、しかも15周年の記念すべきタイミングで出演させていただいたことが、本当にうれしくて、光栄です。

――「ふたりはプリキュア」を、オンエア時からチェックされていたんですね!

宮野:当時、僕はもう声優のお仕事をさせていただいていましたし、もともとアニメが好きなので、いろんな作品が気になって、見ていたんですね。「ふたりはプリキュア」が始まったときは、もうびっくりしました。かわいい女の子たちが、とてつもない肉弾戦で戦っていたので(笑)。衝撃を受けると同時に、かっこいいなとも思いました。男の子の心もガッチリつかむような、チャレンジ精神にあふれた作品でした。もしかしたら、当時の僕は、製作スタッフの方々の気合を感じ取っていたのかもしれません。

――では、「出演したい」とも思っていらっしゃった?

宮野:「プリキュア」シリーズには、妖精も出てきますよね。その声を、男性声優の方がやっていらっしゃることもある。その衝撃の事実を知ったとき、「あ、俺もできんじゃね!?」と思ったんです(笑)。そうしたら、入野自由君が「Yes!プリキュア5」で妖精のナッツ役を演じていて、「あっ! ずるい!」と(笑)。「いつかオファーがくるんじゃないかな!?」と思いながら、「メポー!」(「ふたりはプリキュア」に登場する妖精・メップルの口癖)なんて、練習していましたね。

ミデンを見たときの第一印象は「これ、俺がやるの!?」

――そんな宮野さんが今回演じるのは、プリキュアに立ちはだかる敵のミデン。

宮野:ついに、「プリキュア」に出演したいという念願は叶いました。ミデンは、てるてる坊主のお化けみたいな姿形のキャラクター。最初見たときの感想は、「これ、俺がやるの!?」(笑)。あまりにも見た目がかわいらしかったので、自分の声がこのキャラクターから出ている想像がつかなかったんです。ただ、キャラクターの成り立ちを知っていくうち、ミデンに寄り添うことで、僕にできるアプローチがあるなと。魅力的に彼を演じられるよう、アフレコに臨みたいと思いましたね。

――具体的には、どんなふうにアプローチしていったのでしょうか。

宮野:役をいただいたとき、僕はそのキャラクターの一番の味方でありたいと思うんですね。で、そのキャラクターの本質や目的を、しっかりと僕の感情で表現していきたい。だから、今回もミデンがプリキュアに立ちはだかる敵だからといって、“敵のお芝居”をするのではなく、なぜミデンが苦しいのか、さみしいのかをしっかりとふくらませていきたいなと思いました。

――ミデンはある事情から、“想い出”がないんですよね。

宮野:記憶は、個人を形成する大切な要素。声優としてキャラクターに携わるときは、そのキャラクターの過去や経験、目的を非常に大切にするんですけれど…。ミデンというキャラクターのおもしろいところは、そこがないこと。だからさみしい、だから苦しい、だから人とのつながり方がわからない。でも、感情はある。それなのに、感情のぶつけ方が、表現のしかたがわからない―。それで、相手を傷つけてしまうんです。そんな、ミデンのどうしようもない気持ちを表現できればと思いました。

――そして、ミデンには、ある特殊能力が…。

宮野:ミデンの特殊能力は、プリキュアの想い出を奪い、口癖や能力をコピーできるというとんでもないもの。ある意味、ミデンはたくさんのプリキュアの技を繰り出せる“夢のプリキュア”なわけじゃないですか。そこが15周年記念映画らしいお祭り要素にもなっています。

――ミデンがプリキュアの口癖や必殺技を叫ぶシーンも、宮野さんが演じられたんですよね。

宮野:各シリーズの、各キャラクターの言い回しや、台詞のニュアンスを大事にしたいと思いましたし、それは演出サイドの意向でもありました。僕も全部の作品を見られているわけではないので、資料をいただいてチェックしました。とはいえ、僕が女の子の声を出せるわけではないので(笑)、そこは僕の声で。ミデンがプリキュアの想い出を奪うことで、自分になかったものを手に入れられて、ハッピーになっている気持ちで台詞を言えればいいなと。

――登場するプリキュアは55人ですから、かなり大変な役どころですよね。

宮野:現場で「ふえ!?」となったのが、「HUGっと!プリキュア」(以下、はぐプリ)チームの想い出を奪ったとき。そこでミデンが喜びの台詞を放つんですね。最初、僕は、その思いのまま演じたのですが、「違うんです」と監督がおっしゃって。「これは一行ずつ、キュアマシェリ、キュアエトワール……とニュアンスを変えてください」と言われて、「ええええ!」って(笑)。台詞としてはひとつなぎで言っているんですが、一行ずつ想定するキャラクターを変え、雰囲気を変えて台詞を言っていくのは驚きでした。あそこは頑張りました!

――それは大きな挑戦ですね。

宮野:けっこう大変なんですよ、プリキュアの技(笑)。みんなかわいいですから!そのかわいさを、いかにミデンらしく表現するかは、チャレンジでしたね。みんなが見ているなかで、プリキュアの台詞の一発目をやるときは、やっぱりちょっと恥ずかしかったり(笑)。でも逆に、それが今回のゲストである僕の特権でもあるんですよ。「全部できるんだぜ!」って。「ここで決めなきゃ女がすたる!」(「スイートプリキュア♪」キュアメロディの決め台詞)って俺が言うんですよ(笑)! そういうところは楽しんでやっていました。ただ、挑戦といえば―。一番の挑戦は、ミデンの心情をしっかりと表現する。僕自身が実感としてミデンの心情を感じ、ちゃんと実のある想いを音に乗せて出す。そこは集中して臨んでいました。

――アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?

宮野:すごく居心地がよかったですね。僕が発したひと言に、みんなが反応してくれるんですよ。和やかな空気でアフレコは進んでいきました。それと、「ハグプリ」チームが一生懸命演じている姿には、僕自身、すごく影響されました。「ハグプリ」チームも、初代である「ふたりはプリキュア」チームの本気の「デュアル・オーロラ・ウェーイブ!」(変身時のかけ声)にすごく刺激を受けていたんじゃないでしょうか。僕もレジェンド2人のあの台詞を生で聞けたことに、すごく感動しましたね。そんな刺激的な場所にいられることもうれしかった。心底楽しんで現場にいましたね。

完成した作品を見ての感想は「すげー怖いじゃん、ミデン!」

――完成した作品をご覧になって、いかがでしたか。

宮野:55人のプリキュアがいっせいにミデンに立ち向かい、歴代の名台詞と必殺技が放たれるシーンは、すごく感動的でしたね。それと、一ファンとして、「ふたりはプリキュア」のキュアブラックとキュアホワイトの登場シーンには、ただただ感動しました。少女なのに、ドタバタと上から降ってきて、あんなに豪快に変身してくれるキュアブラック。可憐なのにめちゃめちゃ強いキュアホワイト。僕が見ていた「ふたりはプリキュア」の魅力が、今作にはふんだんに盛り込まれています。

――今作では、そんな戦闘シーンがCGを駆使して描かれています。

宮野:今だからこそできる作り方ですよね。戦闘シーンは臨場感があるし、55人のプリキュアが集合するEDのダンスは圧巻です。

――ご自身が演じるミデンについては?

宮野:「すげー怖いじゃん、ミデン!」と思いました。「お子さんたちにとっては、トラウマになっちゃうんじゃないの!?」って。自分でやっといてなんですけれど(笑)。でも、本気で臨んだ結果なのかなと思っています。

――なんとも言えない怖さがありますよね。

宮野:「はぐハグプリ」チームの想い出を奪ったを吸収したとき、ミデンが「なんでもできる、なんでもなれる!」「ぶっちゃけありえない!」と、「はぐハグプリ」のキュアエールと「ふたりはプリキュア」のキュアブラックの決め台詞を続けて言うんです。「なんでもできる、なんでもなれる!」って、すごくすてきな言葉じゃないですか。自分の好きなものや大事なものをあきらめずに、まっすぐ向かっていくっていう。でも、ミデンが言ったとたんに、それは武器になってしまう。その瞬間が、僕はすごく怖くて。そういう怖さが、物事の本質が、子どもたちにも伝わるといいなと思いました。

――「ふたりはプリキュア」を見ていたお子さんたちは、20歳前後になっています。今回の劇場版は、大人のファンも足を運ぶきっかけになるのではないでしょうか。

宮野:劇場版では、ミデンというキャラクターの成り立ちを軸に、物語のテーマがしっかりと描かれています。そこは、大人も考えさせられるんじゃないでしょうか。この作品に限らず、今までも、「プリキュア」シリーズは各作品、しっかりと時代を反映させ、深いテーマを描いてきたと思います。そこがシリーズの強いところ。たとえば「はぐプリ」は育児がテーマ。この劇場版には、ミデンに想い出を奪われたプリキュアが小さくなってしまう展開があるんです。キュアエールがお世話をするのですが、小さくなったみんなは言うことを聞いてくれない。キュアエールはどうすることもできなくて、自分も涙してしまう――。そこは、もしかしたらお母さん達は「わかる!」と共感できるかもしれません。そして、それでも立ち向かっていくキュアエールの強さに励まされるんです。

子どもたちが全力で応援してくれる姿に涙が出ます

――今回のように、お子さんをメインターゲットにした作品ならではのやりがいはありますか?

宮野:僕は「ウルトラマン」シリーズでウルトラマンゼロを演じています。ときどきイベントに参加させていただくんですよね。そうするともう、全力で子どもたちが応援してくれるんですよ。涙が出ます。それが、子ども向けアニメや特撮の、一番大事な瞬間なのかもしれません。あの声があるんだってことを、忘れないで作っていく。マイクの前に立ちながら、ああやって目をキラキラさせて応援してくれる子どもたちが待っていることを意識する。だからこそ本気で自分の役に臨んで子ども達に刺激を与えていきたいし、全力で応援してもらいたい。たとえば今回の作品だと、その結果、全力で「ミデン嫌――い!」って言われてしまうかもしれないけれど、それでいいと思うんです。子どもたちの感情が育まれていくなかで、それが大事なことなのかなと思いますね。

――宮野さん自身、子ども時代に目をキラキラさせて応援したヒーローはいますか?

宮野:特撮作品は余すところなく見ていましたし、アニメも大好きな子どもでした。けっこう大きくなってからも、瞬間移動の練習をしたり(笑)。アニメだと「ドラゴンボール」を一番見ていましたね。いつもトイレで、気を練る練習をしていました(笑)。アニメや特撮には、夢が詰まっていますよね。

――その夢が詰まったものに、今は声優として携わっていらっしゃるわけですね。

宮野:その責任は感じているかもしれません。憧れていたところに自分が今、いるっていう。

――ミデンはキラキラした想い出を奪うキャラクターです。宮野さんが声優になってからの、キラキラした想い出を教えてください。

宮野:声優をやらせていただいたこと自体が、キラキラした想い出なんですよね。アフレコ現場で音響監督さんや先輩方に教えていただいて――。その教えや経験は、忘れたくないなと思います。

――今後、やってみたい役はありますか?

宮野:本当にいろんな役をやらせていただいていて…。一期一会だなと思うので、出会えたキャラクターにまっすぐ臨んでいきたい。ただ、ありがたいことに、役者としてこうして年齢を重ねてこられたので、今後はナイスミドルもできるようにならなきゃなとは思いますね(笑)。

――作品公開を楽しみにしているファンの方へ、メッセージをお願いします!

宮野:「プリキュア」15周年記念作品ということで、大人になった「ふたりはプリキュア」世代の人たちも見に来てくれると思うんです。初代プリキュアのふたり、なぎさとほのかの激アツなシーンがあります! これは間違いなく、泣く! アフレコ現場でも、2人の絆はすごいんですよ。築き上げてきたこの15年があるんだなと感じさせていただきました。すごくすてきだったので、ぜひ見ていただきたいですね。

『映画HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュアオールスターズメモリーズ』は全国公開中

テキスト:仲川僚子

ストーリー

 不思議な赤ちゃん・はぐたんのお世話をしながら、プリキュアとして戦う中学2年生の野乃はな。ある日、ピクニックに出かけたはなたちは、巨大なてるてる坊主のような怪物・ミデンに襲われてしまう。はなたちはプリキュアに変身して戦うものの、なぜか歴代プリキュアの技を使いこなすミデンに苦戦。そのピンチに駆けつけたのは、「ふたりはプリキュア」のキュアブラックとキュアホワイト。しかし、攻撃を受けたプリキュアは次々と小さくなってしまい、記憶も技も奪われていた。ミデンの狙いは「プリキュアの想い出」。仲間たちを助けるため、はなたちはミデンのアジト・ステンドグラス城へ向かう!

(C)2018映画HUGっと!プリキュア製作委員会(ショートVer.)

(C)2018HPMC

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