11月11日から18日まで、バーレーンでアマチュアMMAの世界大会「IMMAF-WMMAA UNIFIED WORLD Championships AMATEUR MMA」が開催される。
(合同練習に参加した日本代表選手たち)
各階級、世界から数多くの選手が参戦するこのトーナメント。エントリー数は多い階級で32名にもなり、勝ち上がった選手は最高で5日連続で試合することになる過酷な闘いだ。
アマチュアといってもレベルは高く、プロ興行が開催されていない国もあるため「お金をもらっていないだけ」という選手もいるという。この大会で優勝するクラスの選手であれば、プロでも世界レベルの即戦力だという話も。
そんな闘いに今回、日本選手団として参戦するのは以下の5人だ。
加藤輝彦(ライト級)
前田浩平(フェザー級)
村山大介(フェザー級)
関原翔(バンタム級)
山口怜臣(ジュニア バンタム級)
前田、関原はAbemaTVのリアリティショー「格闘代理戦争」2ndシーズンに参戦したファイターだ。前田は那須川天心推薦選手としてトーナメントに出場したものの1回戦敗退。今年、IMMAFのオセアニア大会を制しており、番組後の目標を、あらためてアマチュアでの世界制覇に絞った。
関原はトーナメントのファイナル大会でワンマッチに登場。長南亮推薦としてスソンと対戦し、勝利している。
チーム・ジャパンの総監督を務めるのは鈴木陽一氏。名古屋が拠点のMMAジム・ALIVEで日沖発や久米鷹介、加藤久輝といった強豪選手を育て、UFCやベラトールでのセコンド経験も豊富だ。
10月20日には、埼玉にあるPUREBREDで選手たちの合同練習が行なわれた。このバーレーン遠征では選手各自のジムからコーチが帯同することはできず、鈴木氏および選手同士でセコンドにつくことになる。そのため、お互いのファイトスタイルや個性を知っておこうという試みだ。
ケージも設置されているPUREBREDで、選手たちはグラップリングのスパーリング、打撃とテイクダウンのライトスパーで汗を流した。ここで目立ったのが関原の打撃。遠い間合いから変則的にに放っていく蹴り技でスパーリング相手を翻弄していった。一方、前田は打撃の進歩も感じさせつつ、得意の寝技で力を発揮。相手を変えながらのスパーリングで、前田と関原が当たる場面も。
4つのケージで試合が同時進行する大規模なトーナメント、しかもバーレーンでの開催ということで、日本人選手にとっては慣れないことも多いはず。こうして合同練習でお互いを知り、士気を高めるのは有意義だっただろう。また現地での食事、ホテル近辺の環境や計量などについてのレクチャーも。このあたりは過去に出場している前田は体験済みだ。前田からは「ケージがいくつもあって試合が同時進行なので、試合中はセコンドからの声は聞こえないと思ったほうがいいです」という経験談も。
日本各地での大会から世界までつながり、試合はケージ、ユニファイドルールで行われる。いわば世界基準の闘いだ。パンクラス、修斗など国内でもケージの試合が増え、海外での活躍を目指す日本の格闘家も多い中、ケージでの国際戦をアマチュアから体験できるのは貴重な機会だ。
「いずれプロで海外に出る時のためにも、移動や時差を体験しておくのは大事なことです」とは鈴木氏の言葉。プロという道もある中で前田が世界大会再挑戦を選んだのも、それだけこの大会にやりがいを感じているからだ。
「今回で3度目の世界選手権出場となります。練習仲間や関係者の方からはいつまでマチュアでやるのだと言われていますが、僕が見たい景色を見るために今回も出場を決めました。IMMAFオセアニア王者として代理ではない戦争を勝ち抜きたいと思います」(前田)。関原は「今回は世界を相手にバチバチに殴り合ってバーレーンで暴れまわってやろうと思っています!」と意気込む。
それぞれの道を進んでいく「格闘代理戦争」出場ファイターたち。しかし目指す先が「世界」なのは共通していると言えるだろう。