亀田史郎、YouTuberデビューは「セコンド復帰」への布石　「長女・姫月」の願い

　今年1月にYouTuberデビューを飾ったボクシング一家・亀田家の父・史郎氏（55）。今ではチャンネル登録者数9万人に迫る勢いで、かつての「怖いおじさん」キャラはどこ吹く風。ご飯を食べたり、出掛けたり、本人曰く「他愛もない日常」が注目を集めている。しかし、奇をてらわず、ありのままの日常を伝えることに、今回の仕掛け人である女子プロボクサーで長女の姫月さん（18）の狙いがあった。今ではYouTubeの中で「3150」と書かれたＴシャツを着て「サイコー」と叫び、両手を広げる独特なポーズは一部ファンの中で認知され、幅広い年代に徐々に広まりを見せているという。そんな史郎氏にYouTuberとして活動するようになったきっかけ、さらに思いを聞いた。そして話は、姫月さんの切なる願いにも及んだ。

　意外にも「YouTuberって言われるのは嫌」と口を開いた史郎氏は、照れ臭そうに、ただ嬉しそうに事の経緯を語り始めた。

　「あれは全て娘の姫月が始めたこと。『私がお父さんの悪いイメージを変えたい』と言い出してな。私生活の様子だけでも面白いから、そういう一面も含めて、もっと素顔のお父さんを知って欲しいって」

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　登録したのは今年1月だが、本格的に始めたのは5月頃だという。その当時、ソーシャルに2、3人ほどの「亀田史郎ダミー」がいたらしく、ある事ない事、勝手な吹聴を止めるという目的もあり、「それなら自分たちでやろう」と始まった。そして始めて間もなく、史郎氏は“風向きの変化”を感じるようになった。

　「以前はテレビやニュースで見る怖いイメージが強すぎて、声を掛けられなかった。それが今では、交差点の向こうからでも『3150（サイコー）』ってやってくれるよ（笑）。若い子がどんどん寄ってきてな。小さい子だって『3150やったので見てください』って動画を送ってくることもあるくらいや」

　「一度ついてしまった」悪いイメージを払拭することは容易ではない。とはいえ、小さな風向きの変化は、多くの非難を浴びてきた心に沁みた。史郎氏は当時の心境、さらに自身の夢について続けた。

　「亀田3兄弟の世界チャンピオンはオレの夢。ずっと家族の絆でやってきたから、オレも戦っているのと同じ。亀田家は“やんちゃキャラ”で売り出していたからな。そこはイカツイ系の顔や言動ばかりテレビに映されるよ。それは仕方ないことやけど、一番大事なのは『見てもらう』こと。好きな注目もある一方、嫌いな注目もあっていい。たとえ嫌いで最悪な状態でも、悪いイメージの方が伸びしろあるやん。例えば、興毅なんか『挨拶もろくにできひんヤツだ』と思われていたけど、実際は違う。礼儀はしっかりしているよ。今を見てみい、すっかり好青年や（笑）。それもこれも、テレビの演出が作り上げてしまうんやけどな」

　少しうつむきながら話す史郎氏に「なおさら、娘さんのお気持ちが嬉しかったのでは？」と聞くと、かつての代名詞だった“コワモテ”がクシャっと歪んだ。

　「そりゃ、嬉しいよ。そう思ってくれているんやからな。それに娘は今ボクシングをしていて、いつかはオレにセコンドに戻ってきて欲しいと思っている。そんな話を聞かされた興毅が『ほな、イメージからやな』って姫月に話したらしい。YouTuberとしてのオレを支えているのには、そういった目的と思いがある。たださっきの話と同じように、イメージをすぐに変えることは難しい。それは分かっとるよ……」

　姫月さんの願いどおり、史郎氏の姿がセコンドに戻ってくる時が来るのか。時間を要することに違いはないが、見てみたいという気持ちが湧いてくることも確かだ。

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