「マジンガーZ」を始め1200曲以上の楽曲を歌ってきた“アニソン界の帝王”水木一郎が、音楽的な探究心は尽きないことを、目を輝かせながら語った。
「アニソン歌手はあらゆるジャンルの曲を歌いこなせないといけない。どんな依頼が来ても歌えるようにしないとね」と語る。デビュー50周年を迎えても、水木の探究心は尽きず、表現の引き出しは日々増えるばかりだ。水木は、アニソンシンガーだからこそ自身の引き出しは増えていったと自負している。
1968年に歌謡曲でデビューしたものの、なかなかチャンスがつかめずにいたころ、アニメ「原始少年リュウ」の主題歌のオファーが来た。当時はまだアニメソングが「まんがのうた」と呼ばれていた時代。主題歌といえば児童合唱団やコーラスグループが多く、大抵の歌謡曲の歌手たちは、「まんがのうたなんか、なんで歌わないといけないんだ」と敬遠していた。水木は、「彼ら全員、『あのとき歌っておけばよかった』って悔しがっていると思いますよ」といたずらっぽく笑った。
もともとアメリカンポップスやジャズを音楽的ルーツとし、映画主題歌を歌うことに憧れていた水木には、アニメソングに対する抵抗はなかった。とはいえアニメソングというジャンルの地位が低かった当時、悔しい思いをすることも多かったらしい。中には、みかん箱の上で、拡声器を使って歌うようなステージもあった。しかし、どんなに粗末なステージであろうと子供たちが目を輝かせているのを見ると、「これは投げ出せない」と魂をこめて歌を届けた。
水木は、“アニソン”というジャンルだからこそ、作品や登場キャラクターに寄り添うことにこだわっている。「マジンガーZ」ではスーパーロボットの強さや兜甲児のやんちゃさを、「キャプテンハーロック」ではハーロックの孤独を、「がんばれロボコン」ではコミカルに……。水木は、アニソンシンガーは作品の代弁者であると考えている。「作品を利用して自分を売ろうとすると、どの歌も全部自己満足の歌になってしまう」と指摘する。キャラクターや作品が伝えようとしているメッセージを歌に託せば、歌手としてさまざまな引き出しを手に入れることができるのだ。
持ち歌が1200曲を超える水木は、「レコーディングの回数では誰にも負けていない」と胸を張る。一発OKが出る日もあれば、OKが出ても納得がいくまでテイクを重ねる日もある。レコーディングという実践の中で、水木は歌手としてのスキルを磨いていった。作品にマッチしたベストな歌い方を探して表現を変えることができれば、おのずと引き出しが増えていくのだという。もちろん、そのベースには、たくさんの歌を聴き、たくさんの歌唱法を取り入れた若いころの鍛錬があるからこそだ。
水木は、今年70歳になり、デビュー50周年を迎えた。しかし、今も引き出しを増やすことに余念がない。
水木 「50周年だから、もう充分ってことはない。まだどこかに違うものが待っていてくれるんじゃないかと、探しきれない旅をしているような感覚ですね。今も毎日、心ときめかせながら歌い続けています」
（原田イチボ／HEW）
（C）AbemaTV
「水木一郎バースデーライブ2019 JUST MY LIFE」
2019年1月5日（土） バラードSP 1月6日（日） 雄叫びSP 会場：よみうり大手町ホール
https://www.mmjp.or.jp/birthday/2019_mizuki_birthday.html
水木一郎デビュー50周年記念アルバム「JUST MY LIFE」 日本コロムビアより発売中
http://columbia.jp/artist-info/mizuki/discography/COCX-40541.html
水木一郎公式サイト
http://www.mizuki-spirits.com/
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