11月17日の東京女子プロレス・新木場1st RING大会で、TOKYOプリンセスタッグ王者の坂崎ユカ&瑞希が2度目の防衛戦を行う。
(11.4の試合ではコブラツイスト(ヒカリ)、カナディアンバックブリーカー(ミウ)の競演も)
(C)DDTプロレスリング
挑戦者はアップアップガールズ(プロレス)のヒカリとミウだ。2人はこれがタイトル初挑戦となる。アプガ(プロレス)は昨年、オーディションで選ばれた4人組グループで、デビュー時点からアイドルとプロレスの完全同時進行で活動している。
レスラーとしては“アイドル扱い”ではなく練習生としての下積みも経験し、今年1月4日の後楽園ホール大会でデビュー。ゆっくりとではあるが着実に成長してきた。グループの中でも実力上位なのが、気持ちが伝わる試合ぶりを見せるヒカリと団体屈指のパワーファイターになりつつあるミウだ。
挑戦表明は11月4日の大会。山下実優&ヒカリ&ミウvs坂崎&瑞希&ヒナノという6人タッグマッチの直後だった。この試合、ヒカリがヒナノに勝利しておりアプガ(プロレス)内での決着だったが、ヒカリは「先輩たちに混じっての試合で自分が勝てたことが自信になりました。今までは先輩と組むと足を引っ張らないようにとしか思えなかったので」と言う。
11.17新木場大会から、新人が立て続けにデビューを果たすという状況もある。「焦りというか、私たちもいつまでも“新人”じゃないってところを見せたいんです」とヒカリ。その思いが「自分たちの位置をもっと高めて、アプガ(プロレス)を大きくしていくためにベルトが必要なんです」というタイトル戦アピールにつながった。
(「新人だから」という目で見られたくない。そんな思いで挑戦表明したというアプガ(プロレス)の2人(右))
写真:(C)DDTプロレスリング
チャンピオンは団体史上でも最高レベルの名コンビ。とりわけ空中殺法などスピードとテクニックを駆使した攻撃は一級品だ。ミウは「技術的に勝てる部分はほぼゼロだと思います」と素直に認める。実績を見ると、ヒカリとミウはグループ内の相手からしか勝ち星をあげられていない。
勝敗予想でいえば圧倒的な不利。ただヒカリは「私もミウも負けず嫌いなので、勝てないっていう声を聞けば聞くほど燃えます」と言う。坂崎は憧れの先輩だが「好きだからこそずっと見てきたし、強さも弱さも感じることができてます。試合でその弱点を突きたい」。ミウは「成長している勢いだけは負けてないです」と意気込みを語った。
「今の私たちに何ができるか。それは2人分の成長をぶつけることだと思います。私たちは性格もファイトスタイルも違うけど、だからこそバランスがいいタッグのはず」(ミウ)
デビュー戦、グループ4人でのタッグマッチで勝利したのがミウ、負けたのがヒカリだった。逆にシングル初勝利はヒカリがミウからマーク。夏のトーナメント「東京プリンセスカップ」にも、予選試合でミウに勝ったヒカリが出場している。
「私が節目、節目で闘ってきた相手がミウ。トーナメント一回戦ではそのミウがセコンドについてくれたのが心強かったです。そういう私たちが組んで、ベルトを狙うのが大事なのかなって」(ヒカリ)
他の強い先輩ではなく、最も身近な仲間でありライバルとだからタイトル初挑戦の意味もある。来年1月4日でレスラーデビュー1周年。その直前、大晦日には初の単独ライブを開催することになった。新曲、新衣装を披露、またリングネームも新たなものになる記念すべきステージ。そこに「ベルトを持って上がりたい」というのが2人の願いだ。
実力不足、時期尚早、そう思われて当然の王座挑戦ではある。しかしこの世界、一歩前に出なければ何も始まらない。下馬評や不安との闘いも、前に出た者にしか許されない特権だ。
文・橋本宗洋