「イッテQのお祭りの企画について、疑念を生み、ご心配をおかけする事態となりました。申し訳なく思っております」
日本テレビが誇る高視聴番組『世界の果てまでイッテQ!』の「祭り企画」のやらせ報道は、大久保好男社長が謝罪する事態となった。この騒動に対しては、「誰も傷つけてないんだからいいじゃん!」「他国の文化を軽視したことは問題」「ほじくらん方が夢がある」と様々な意見が上がっている。
いま“王者”日本テレビで何が起きているのか? 18日放送のAbemaTV『Abema的ニュースショー』に出演した元日本テレビ総合演出の村上和彦氏は、「これをもって非難する気には全くならない。ワキが甘かった」と持論を展開。騒動については2点問題があったと指摘する。
「1点は、初動が悪かった。最初に文春の報道が出た時に『金銭の授受をしたり、やらせのようなものはない』と明確に否定してしまった。あの時に『それを含めて調査をしています』『現地に迷惑をかけたかもしれない』という言葉ひとつがあれば印象は変わっていたかもしれない。その後に第2の矢が来て炎上が大きくなってしまった。
2つ目は、海外ロケものの構図として、細かい仕込みをやってくれる“海外コーディネーター”の存在。彼らは通訳以上の力を発揮してくれるが、エリアによっては仕込みのために表も裏も知っているような“豪腕”な人物が必要だったりする。特に東南アジアは、日本人で現地に溶け込んでそういう力を持っている人が結構いる。彼らが悪いということではなくて、そういう人が『話をつけたから』といった時にはお金が動いたということになる。いろいろな国でコーディネーターと組んで企画を作っていく部分を、局側がどうコントロールするか。局のプロデューサーがいちいち海外に行くわけではなく、制作会社のスタッフが信頼のおけるコーディネーターを伝えるが、今回はそこの局側のワキが甘かった」
また、日本テレビにおける“独自のシステム”もひとつの要因だといい、「総合演出スターシステムというもので、総合演出が主導して企画やタレントにGOサインを出す。いまの日本テレビでは、総合演出という肩書の人間が昔でいうプロデューサーのイメージで、プロデューサーは予算管理やコンプライアンスチェックなどのマネジメントが多い。総合演出はディレクターから叩き上げで実績を積んだ人がなる、局内のある種のスター。プロデューサーは総合演出になる力は足りないけど、管理能力はあるという人がなる。実績がある番組では総合演出よりプロデューサーが年下というケースも多くて、プロデューサーはあまりものを言えない。総合演出が『これ面白いからやろうよ』と言った時に確認はプロデューサーセクションの担当になるが、その確認が甘く問題になることはある」と述べた。
一連のやらせ疑惑に対し、元セクシー女優で作家の鈴木涼美氏はアダルト業界の観点から言及。「ある種、テレビの世界に映っているのは作られたファンタジーとしてわかって楽しんでいたと思うが、それを混同する人が増えてきた。AVを『これを性のリアルだ』と性ドキュメンタリーとしては観ない。だからこその18禁という意味で、わかった上で楽しむもの」とした。
また、元格闘家の前田日明氏は「エンターテインメントを定義するのは馬鹿な話で、大事なのは見て楽しいかと、誰も傷つけないこと。(イッテQは)純粋に健康的なエンタテイナーだと思うけど、それをとやかく言うのはどうか」と持論を展開した。
村上氏は「お金を払っていたある意味やらせだったのは事実だと認めざるを得ない。(バラエティーの作り手は)面白ければいいじゃんと常々思っているが、今時はもう言わない風潮になっている。やらせか演出かはややこしいが、やらせはしていけないと思っている」と述べた。
(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』より)
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