SNSで度々ブームになる“○○チャレンジ”。過去にはスマートフォンのアプリを使って、別人に加工する遊びが注目を集めた。しかも、使うのは自分の顔ではなくお笑いコンビ・オアシズの大久保佳代子の素材。どれだけ面影を残しながら別人加工できるかどうか、大久保の写真とともに、ハッシュタグ「#大久保チャレンジ」が添えられた投稿は、2016年にTwitter上で一時的に大流行。本人も公認するなどして話題になった。
数々のブームがあった“○○チャレンジ”だが、2014年に大流行した「アイスバケツチャレンジ」は、その後どうなったのだろうか。
「アイスバケツチャレンジ」とは、もともとは難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を支援するためにアメリカで始まったチャリティチャレンジ。ALSは、運動神経が障害を受け、手足の筋肉が次第に動かなくなる難病で、日本国内に約9600人の患者がいると言われている。
指名された人は、24時間以内に「バケツに入った氷水を頭からかぶる」か「寄付をする」を選択(著名人にはこの両方を行う人も多く存在)し、さらに次の3名を指名する。
ビル・ゲイツ、スティーヴン・スピルバーグ、レディー・ガガ、ジェニファー・ロペスなど、世界中で多くの有名人がこのアイスバケツチャレンジを行い、話題を呼んだ。日本でも起業家やタレントの中でブームになった。
しかし、事故が起こったり、批判が殺到したりとトラブルも多く、日本ALS協会からも公式サイトや報道を通じて「無理はしないように」と呼びかける事態に発展。ブームはあっという間に終焉を迎えた。
果たして、いまだに「アイスバケツチャレンジ」をやっている人はいるのだろうか。『あの話、どうなった?』(テレビ朝日系/深夜・キタイチ枠、AbemaTV/バラステ枠放送)では当時「アイスバケツチャレンジ」を実行した人を調査。
まずは、有名人のSNSをくまなく調査し、日本で比較的早期に「アイスバケツチャレンジ」に挑戦した起業家や著名人など5名をピックアップ。アイスバケツチャレンジは次の人を指名するルールのため、この5名のラインがどこまで続いているのか、数珠繋ぎで調査した。
(▲総勢98人をたどった図 ※クリックで拡大できます)
しかし、著名人たちの「アイスバケツチャレンジ」の軌跡をたどったところ、すべてのチャレンジが2014年以内にストップしていることが明らかに。最後にたどりついたクレッグシマハラ、清川あさみ、瀬戸内寂聴の3名に関しては情報がつかめず、番組への返答もなかった。
今ではほとんど見かけなくなった「アイスバケツチャレンジ」だが、2014年のブームでは実際にどれくらいの寄付金が集まったのだろうか。
日本ALS協会副会長の金澤さんに話を聞いたところ「2014年の夏、2週間で20年分の寄付金の約半分に相当する金額(約3800万円)が集まった」とコメント。過去10年分に当たるほどの寄付金は、患者の活動支援に活用され、大学チームのALS治療研究にも役立っている。
最近では今年11月、慶応大などのチームにより、iPS細胞を使い病気の状態を再現させ、薬の候補を探す「創薬」により、パーキンソン病の既存薬がALSに効くことが公表され、新しい治療薬が誕生につながった。(2018年11月18日付:朝日新聞『iPS細胞使って発見、既存薬がALSにも効果 慶応大』)
ただのブームかと思いきや、ちゃんと新薬の開発に貢献していたことが分かった「アイスバケツチャレンジ」。ブームにかかわらず、日本ALS協会では引き続き、公式Webサイト等で寄付を呼びかけている。