俳優の稲垣吾郎が、日本を代表する漫画家・手塚治虫が1970年代に発表したアダルトコミックを初めて映画化する『ばるぼら』で、異常性欲に悩まされる耽美派小説家の主人公を演じることがわかった。その相手役で自堕落な性格のフーテン少女を女優の二階堂ふみが務める。20日に都内で行われた「手塚治虫生誕90周年記念会式典」内で発表され、稲垣、二階堂、手塚治の息子でメガホンを取る手塚眞監督が出席した。

異常性欲に悩まされる耽美派小説家・美倉洋介(稲垣)が、謎の美少女・ばるぼら(二階堂)に出会ったことからエロティックな迷宮に迷い込んでいく様を描く。原作の同名漫画は、禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど様々なタブーに挑戦した問題作で、その独特な世界観から映像化不可能と言われてきたが、手塚治虫生誕90周年の節目に日本・ドイツ・イギリスの製作陣が集結。この度の実写映画化が実現した。撮影はすでに終了しており、2019年公開を予定している。

稲垣は「手塚治虫先生の作品は子供の頃から拝見させていただいたり、個人的には舞台『七色インコ』(2000)をやらせてもらったこともあって、ずっと身近に感じてきたので光栄なこと。中でも怪作である『ばるぼら』を初めて映画でやらせてもらえるのは自分にとっても新しい挑戦」と新鮮な面持ちで「今のこのタイミングでなければ演じられない役だと思ったし、感慨深い。愛がむき出しになった僕を皆さんに楽しんでいただけるはず」と期待をあおった。
初共演の二階堂については「初めて二階堂さんをスクリーンで観たときは衝撃が走ったし、いつかご一緒させていただきたいと思っていた」と役者としての初対面を喜び「撮影中は夢のような、現実とは思えないようなフワフワした時間だった。それに誘ってくれたのは、ばるぼらを演じた二階堂さん。その感覚は今までに経験したことのないもので、二階堂さんは僕を演技で引っ張ってくれた」と感謝。

一方の二階堂も「稲垣さんは文学を感じる方というか、初めて難しい本を手に取ったときのような感覚があった。だから知りたいと思うし、自分の未熟さや大人になり切れていない部分を感じさせてくれるような方」と独特な言葉で表現し「稲垣さんとお芝居を一緒にしていると、自分の中に眠っているばるぼらを起こされるような感覚があった」と化学反応を実感している。


テキスト・写真:石井隼人
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