11月17日の東京女子プロレス新木場1st RING大会で、アップアップガールズ(プロレス)のヒカリ&ミウがTOKYOプリンセスタッグ王座に挑戦した。
(ヒカリのコブラツイスト、ミウのカナディアンバックブリーカーと得意技を同時に決める場面も。王者チームをピンチに追い込んでみせた)
(C)DDTプロレスリング
アップアップガールズ(仮)の妹分グループとして、アイドルとプロレスの完全同時進行を掲げて結成されたのが昨年夏のこと。ステージデビューしながらプロレスでは練習生生活を送り、今年1月4日にリングデビューを果たした。そこから1年弱、メンバー4人の中から実力上位のヒカリとミウがベルト獲りに踏み出した。これが初のタイトルマッチだ。
チャンピオンは坂崎ユカ&瑞希。スピードとテクニック、連携に優れた、団体最高峰のチームと言っていい。下馬評ではヒカリ&ミウが圧倒的不利。王座挑戦じたい、時期尚早と見られてもおかしくなかった。
(坂崎、瑞希をまとめて投げ捨てたミウ。アイドルだが堂々たるパワーファイターだ)
(C)DDTプロレスリング
だが試合が始まってみると、王者組のスピード&テクニックに、ヒカリの気合いとミウのパワーで対抗。持ち味の違いが吉と出て予想以上の熱戦となった。ヒカリのグラウンドコブラ、ミウのカナディアンバックブリーカーやダブルチョップはチャンピオンを充分に苦しめたし、ミウが相手を2人まとめてボディスラムで投げ捨てた場面は試合のハイライトの一つだっだ。
(王者組はダブルでダイビングクロスボディ。全力で後輩を倒しにいった)
(C)DDTプロレスリング
最終的には底力の差が出て、坂崎がヒカリをフォール。合体式のダイビング・ボディアタックに瑞希のダイビング・フットスタンプ、そして坂崎のマジカル魔法少女スプラッシュと、フィニッシュへの流れは王者チームの独壇場だ。だが必殺技、大技ラッシュは挑戦者にそれだけの力があったからだとも言える。「余裕残しの勝利」ではなかったわけだ。
試合後の坂崎はアプガ(プロレス)のメンバーを「家族」と表現している。また「アイドルやって、クタクタになってもプロレスの練習にきて。アイドルとプロレス、二つ重なってのアプガ(プロレス)。後輩だけど心から尊敬してます」と、その活動が中途半端ではないことをファンに伝えていた。
ミウは「今できることは全部やって、全力を出しました。でも満足はしてないです。もっとうまくなりたい」。ヒカリも「いままでで一番の自分が出せました」としながら「限界までやっても勝てないんだからまだまだです」と語った。タイトル初挑戦は、結果として彼女たちに一段上の自覚をうながすものになったようだ。
実際、翌日の蕨大会(ファンクラブ会員限定イベント)のメインでは、敗れたとはいえミウが誰よりもインパクトを残したと言っていい。ヒカリvsラクのメンバー対決も、それぞれの成長を感じさせるもの。ヒナノはコミカルな味が際立つようになってきた。
(次の挑戦者に名乗り出たのは、坂崎のもう1人のタッグパートナーである中島翔子と我闘雲舞の里歩。今年8月に対戦した2人は初タッグ結成だが、能力的にチャンピオンを脅かす可能性は充分)
(C)DDTプロレスリング
12月31日に初の単独ライブを控えるアプガ(プロレス)。この日から新曲、新衣装、またリングネームも新たなものになる。すでにコスチュームのデザインは公開、それぞれの個性をより押し出すものになった。昼に試合、夜にライブという日もあるアプガ(プロレス)には、彼女たちにしかできない活躍があり、その中でもメンバーごとに違う魅力がある。
今年はレスラーデビューに加えTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)初出演とタイトル初挑戦も実現させたのだから、それだけでも快挙だろう。ベルトを持って単独ライブのステージに立つという目標は叶わなかったが、挑戦したことには大きな意味があったはずだ。
文・橋本宗洋