
先月、大手男性向けコスメブランド「ギャツビー」がウェブ上で実施したテストの結果、実に2人に1人が「視線耐性が低い」、つまり他人からの視線が苦手だということがわかった。その傾向はとりわけ平成生まれの若者ほど顕著で、7割が「怖い」「恥ずかしい」といった理由から「視線にストレスを感じる」と回答した。

目を合わせるということは対人関係の上でも大切なポイント。この問題に悩む人たちの座談会に出席していた大学生の永野響介さんに話を聞いた。
待ち合わせ場所に登場した永野さんは、常に笑顔を絶やさず、受け答えのしっかりした若者だった。それでも「友達でも同じ。すごく緊張しちゃって、スッと目を逸してしまう。大学に入ってから、プレゼンなどで人前に出ることが多くなって、目を真っ直ぐ見るのが難しいな、苦手なんだなと改めて認識するようになった」と話す。確かに、スタッフと会話する際も視線は定まっていない。

サングラスをかける、飲み会で意見を求められる、彼女とのペアルックなど、普通の人ならそれほど気にならない場面もストレスを感じるという永野さん。「美容室でも、鏡越しに目線をチラッと合わせることしかできない。"そうですね"みたいな感じで話を合わせて、すぐ携帯を見ちゃう。メガネを外しているので、見えてないことをいいことに見ているふりをするとか。飲食店でも、周りのお客さんから見られるので、遠くにいる店員さんを大声出して呼ぶのがすごく苦手。できればやりたくはない」。
目下の悩みは就職活動だ。「面接では視線に晒されるのが必然なので」。

早稲田大学の森川友義教授は、こうした若者の傾向について「デジタル依存度」「対人経験度」「自信」が背景にあると考えている。SNSの「盛りすぎ写真」「インスタ映え」「裏アカウント」に象徴されるような、本当の自分とネット上の自分が乖離していく中で、視線耐性が低下していってしまうのだという。「バーチャルの世界では自分を良く見せたい。でも、実際の自分はそうでもない。現代人はメディア接触時間が6時間39分と、非常に長い。しかも仕事での時間を入れないでこの数字。それだけ長い間一人でいるということなので、少しなにかあると自信の喪失につながり、またデジタルに入るという負の回転に入ってしまう」。

森川教授は「これからますます人の視線耐性は低くなると思う。この流れは止めることはできないだろう」と指摘、「人間関係というのは最初に見かけを見て、話し合う。さらに恋愛の場合は匂いを嗅いで、手をつないで、キスをするという段階を踏む。視線耐性が低いというのは、最初の入り口の所で大きな問題になってくる」と話した。

「カメラに一人で淡々と話す方がラク」という永野さんの話に共感できるという柴田阿弥は「私も仕事で無ければ難しい。もともと人付き合いが得意ではないというケースもあると思うし、治す必要もないと思う。"俺誰とでも仲良くなれるもんね"みたいなことを言うテレビ業界のウェイウェイ系の人は、むしろ人の気持があんまりわかってないだけじゃないかと思ってしまう」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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