プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」11月23日の1回戦で、セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)選手が10月18日以来の自身2勝目を挙げた。1カ月以上もトップが取れない不振が続いていたが、この日は髪型を変えるなど心機一転。生まれ変わったマーメイドが卓上で躍動した。
対局者は起家からU-NEXT Pirates・小林剛(麻雀連合)、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)、TEAM雷電・黒沢咲(連盟)、セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)。クライマックスリーグ進出圏内の4位の座を激しく争う、3位から6位までのチームの対決となった。
魚谷は10月18日の2回戦で“女流プロ第1号”となるトップを獲得していたものの、その後は天運に恵まれず長いスランプに突入してしまった。本人も「相当苦しかったです」と振り返るほど大きなマイナスを抱えてしまったが、所属チームであるセガサミーフェニックスは近藤誠一(最高位戦)と茅森早香(最高位戦)の活躍で4位圏内をキープ。「心強いチームメイトが2人いるので、私なりに精一杯打とうと思っていました」という仲間への信頼感が、魚谷の復活劇を支えた。
点棒状況が平たい中で迎えた親番の東4局、魚谷に配牌で役牌の発が暗刻のチャンス手が入った。ドラを早々に見切る好判断でこの手を最高の形に育て上げ、8巡目に絶好の3面張で先制リーチ。解説を務めた赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(協会)も「魚谷にできる努力は尽くした。これでアガれないとなると……」という完成形だったが、リーチの時点で山に5枚残っていたアガリ牌がことごとく他家に流れていってしまった。パブリックビューイング会場でセガサミーフェニックスの応援団が祈るように見つめる中、河が3段目に差し掛かった13巡目でなんとかツモアガリ。リーチ・ツモ・発・赤の1万2000点でトップ目に浮上した。
しかし続く東4局1本場で黒沢に強烈な跳満をツモられ、魚谷は2着目に後退してしまった。2着目のまま南3局となり、またしてもトップならずかという空気が流れる中、この1カ月間ツキに見放されていた魚谷についに幸運が舞い込んだ。
好配牌を得た魚谷は“最速マーメイド”の異名にふさわしい4巡目リーチ。この時点では手役もドラもなくリーチのみだったが、小林の放銃を受けて裏ドラをめくると表示牌は6索。手の中で暗刻になっていた7索がドラに化けたことで、リーチ・ドラ3の8000点をゲット。このアガリで600点だけ黒沢を上回った魚谷は、オーラスの親番をなんとかしのいで薄氷の逃げ切り勝ち。この日も全体的に手が入っているとは言い難かったが、放銃はゼロ。2度の満貫で稼いだ点棒を最大限に活かす防御力が光った一戦だった。
試合後のインタビューでは、チームのマネージャーから「髪型がいけないんじゃないですかね? 変えてみますか?」とアドバイスを受けて、ヘアスタイルを変えたことを明かした魚谷。「いつも食べているお弁当で負け続けていたからお弁当を変えましょうとか、なんとなく悪いものは消していこう、と思って」と語っていたように、気分を一新したことが復活劇につながったのかもしれない。
魚谷の自身2勝目は、チームにとって節目の10勝目。ここ最近絶好調の茅森、安定感と意外性を兼ね備えた近藤に加えて、重圧から解放された魚谷が本調子に戻れば、さらなる上位進出も見えてくる。中盤戦を迎えてなおも一進一退の大混戦が続くMリーグ。上昇気流に乗ったセガサミーフェニックスが台風の目になる可能性は十分だ。
【1回戦結果】
1着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)3万4800点/+54.8
2着 TEAM雷電・黒沢咲(連盟)3万4200点/+14.2
3着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)2万6100点/▲13.9
4着 U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)4900点/▲55.1
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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