雑誌「Number」のプロレス総選挙で2年連続ベストテン入りを果たし、他団体にも積極的に参戦するなど、WRESTLE-1でも屈指の知名度を持つ黒潮“イケメン”二郎が約3カ月ぶりの復帰戦を行なった。
（復帰戦を勝利で飾ったイケメン）
9.2横浜大会でヒザを負傷、欠場していたイケメンは、11月23日の後楽園大会で久々のリング登場。対戦相手は新人の佐藤嗣崇だ。 いつものように福山雅治の「HELO」を1曲丸々使っての入場パフォーマンスに、観客も大コール。
試合では佐藤の足攻めに苦しむ場面もありつつ、スワントーンボムなど得意技を次々と決めていった。圧倒的に華のある闘いは、復帰戦でも健在だったと言っていいだろう。
ただ、新技として投入が予告されていたイケメンスラッシュ（バズソーキック式バックキック）は計3度ディフェンスされ、4回目でようやくヒット。これで3カウントとなった。イケメンにとっては満足のいかない勝利だったようだ。
インタビュースペースでの第一声は「すいません、しょっぱかった！」。さらに「プロレス、難しいわ」とも。足の状態は「一応、絶好調」というイケメンだが「ブランクが思ったより出てしまった」そうだ。
この試合、イケメンは最大の必殺技であるムーンサルトプレスを使っていない。それが出せればもっと楽だったと本人も分かっているのだが、ケガのきっかけにもなっただけに「カッコ悪い話ですけど、今は使うのが怖いです」。
カメラを向けられると派手にポーズを決めつつ、率直な心境を隠さないのもイケメンが愛される所以だろう。今は使えないムーンサルトだが「磨き続けていきます。この技で倒さなきゃいけない相手がいるので。それは武藤敬司です」とも語っている。
また新技イケメンスラッシュについては「TAJIRIさんがバズソーキック使うでしょ。俺はTAJIRIさんにプロレス教わったんで。そのことは死ぬまで引っ張りますよ」。自身のルーツに関わる技なのである。
実力派のチャンピオンである芦野祥太郎が君臨し、イケメンが会場のムードを華やかにし、さらに現在のW-1マットはCIMA率いるストロングハーツ勢の参入もあって活気づいている。コメントを聞く限り、今回のイケメンは“復帰”。試合を重ねる中での“完全復活”を楽しみにしたい。
文・橋本宗洋
