夢が叶わなかったことが、もしかしたら最強女流棋士をひと回り大きくしたのかもしれない。現在、6つある将棋の女流タイトルのうち4つを持つ里見香奈女流四冠は、まさに女流棋界の頂点にいる。そんな里見女流四冠は今年、年齢制限で奨励会を退会し、男女の区別がない「プロ棋士」になることができなかった。ところが「女流枠」として今年度、7期ぶりに男性棋戦に出場すると、11月29日現在で6勝6敗、勝率5割。活きのいい、ハイレベルな奨励会・三段リーグでもまれた効果もあってか、限られた対局の中で、堂々たる成績を残している。一方で「女流」一本になったことで、これまであまりできなかった普及活動にも力を入れることができた。「女性教室は、自分自身がすごく楽しかったですし、勉強になったんです」とほほ笑む里見女流に、この1年を聞いた。