今回で4度目となるRIZINの年末大会は“平成最後の大晦日決戦”として年越しカウントダウンイベントとなることが決まった。試合開始15:00、試合数は「最低でも15~16試合になる」(榊原信行実行委員長)という超・特大興行だ。
(浅倉vs浜崎、RIZINが提供できる最高の女子カードが正式決定)
この大会では、RIZIN初の試みも。それが正規王座の制定だ。これまでRIZINではGPトーナメントを開催してきたが、今回は正式な「チャンピオン」が決まる。
男子ではバンタム級王座決定戦で堀口恭司vsダリオン・コールドウェルが実現。女子はスーパーアトム級の初代王座を浅倉カンナと浜崎朱加が争うことになった。
浅倉は昨年の女子GPで優勝。今年7月には決勝戦のリマッチとなるRENA戦にも勝利している。対する浜崎は日本でJEWELS、アメリカではインヴィクタでチャンピオンになった世界トップレベルのファイター。RIZINでも2連勝している。
浜崎のほうが先輩であり、世界的な実績で上。しかし浅倉はRIZINで人気選手となっており、このリングでは“格上”とも言える。
11月29日の記者会見では調印式も行われ、浅倉は「去年も不利と言われる中で勝てました。そういう時こそいつも以上の力が出せると思ってます」と、世界女王に挑むスタンスでコメント。逆に浜崎は「浅倉選手は若いし伸びてるけど、まだ追いつかせない」。9月の試合後に対戦をアピールしていただけに「いつでもやるつもりでいました。それが大晦日になったのは嬉しいですね」とも。
この試合が、現時点でのRIZIN女子スーパーアトム級最強決定戦なのは間違いない。そして今後、そこに絡んでくることが期待されるのがRENAだ。
(RENAは7月以来の復帰戦となる)
浅倉に連敗し、休養に入っていたRIZIN女子のトップスターは「みなさんが期待してくれる姿に追いつけない、遠のいているという思いがありました」とプレッシャーを語っている。しかし今回で大晦日は4回目、RIZINスタートとともにMMAデビューを果たしただけに「平成最後でもありますし、私がいないのは違うだろうと。もっと強くなって、期待を上回れる選手になりたい」と再起戦出場を決めた。
フランスのサマンサ・ジャン・フランソワとの対戦に向け、テーマを「リスタート」と語ったRENA。最初の大晦日と同じく第1試合に出たいという希望も明かしている。
RIZIN女子スーパーアトム級の王座決定戦が自分以外の選手で争われることになった状況には「悔しい気持ちがないと言えば嘘になります」。ただ練習仲間でありMMAの基本から手ほどきを受けてきた浜崎と、自分に勝った浅倉の対戦は「単純にどっちが勝つかという気持ちもあります」と言う。RENAの予想は浜崎勝利。その場合「私は同門なので対戦はないですが、浜崎朱加を倒せるのは私しかいない。練習で追い込みたい」と微妙な関係になりそうだ。
ファンとしては、誰が王者であれタイトル戦線に加わってほしいところだろう。が、まずは彼女の格闘家人生にとって大きな意味を持つ大晦日という日に、いいリスタートを切りたい。
12月1日のDEEP JEWELSでは新王者となった前澤智が大晦日参戦アピール。山本美憂もMMAファイターとして成長中だ。女子スーパーアトム級は、やはり見逃せない階級。今後もRIZINの軸の一つであり続ける。
文・橋本宗洋