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 「スマホ決済で現金を上回る利便性とメリットを提供し、日本で暮らすみなさんに便利で快適な世界を提供、そしてライフスタイルそのものを豊かにできる」。社長の中山一郎氏がそう語っていたPayPayのキャンペーンが4日、スタートした。利用金額の20%、さらに40回に1回は100%が還元されるという、総額100億円という大規模なものだ。

 しかし初日となる4日、関心の高さからかアクセスが集中、一時サービスが利用できない状態になったり、多重決済の報告がされるなどの混乱が生じた。現在は復旧しているというが、翌5日も一部で不安定な状態が続いた。また、「めっちゃ値上げしてるやん」「PayPayキャンペーンの前日から20%値上げされてたりするから要注意」一部の店舗ではキャンペーンに合わせたかのように値上げされていたという指摘も出ていた。

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 「PayPay全額キャッシュバック当たっちゃった、やばい」

 「並んでやっとレジでやったのに使えんかった。しかも、現金持ってなかったから、結局買えんかった」

 「この難易度では、うちのオカンレベルでは相当にキツイ」などの様々な声が上がっている。

 日本中でそんな声が上がったPayPayについて、AbemaTV『AbemaPrime』では専門家に話を聞いた。

 今年10月にサービスの提供を開始したPayPayは、あらかじめ銀行口座からチャージした電子マネーかクレジットカードでの支払いが可能なほか、QRコードを用いた決済が可能になっている。一つは店側が用意したものをユーザーがスマホで読み取り金額を入力、店員がその画面を確認するという流れの「ユーザースキャン」、もう一つはユーザーがスマホに表示させたバーコードを見せるという流れの「ストアスキャン」だ。

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 このQRコードを用いた決済についてITジャーナリストの三上洋氏は「キャッシュレス決済の第1世代に当たるのがSuica、Edy、nanacoなど、カードに入った電子チップで決済する。それらに対し、最近で出てきたLINE PayやPayPayなどは第2世代と言ってもいいと思う。スマホの中だけで完結し、QRコードやバーコードが使えるというのは、店舗側の負担が軽いのがメリット。Suicaとかnanacoは対応するレジがなければいけない。ただ、SuicaやEdyならタッチして"ピッ"だけで終わるところが、残念ながらPayPayはそうではない。確認ボタンを押したり、金額を入れたりするという作業が必要。本当に払ったのか、お店側がすぐに分かるという意味では優れたシステムではある」と三上氏は説明した。

 さらに三上氏は「Yahoo! Japan、ソフトバンクのグループ内で囲い込みをしようとしているので、登録が面倒くさいという問題もある。PayPayで銀行口座を登録するにはYahoo! JAPAN IDが必要で、ヤフーの決済の仕組みに銀行口座を登録してそれを入れなければならないが、まだ対応していない銀行もあるので、まだハードルは高い」とも指摘した。

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 実際にPayPayでの決済を試してみたというスマートニュースの松浦シゲキ氏は「アプリを立ち上げ、QRコードを表示して、さらに店員に見せるというのはやはり手間だ。金額を入力するパターンも店員に確認してもらわなければいけないので、Suicaなど比べて便利とは言い難い」と感想を述べた。

 QRコードによるキャッシュレス決済は、LINEの「LINEPay」、楽天の「楽天ペイ」などが先行していて、PayPayの参入でさらに競争が加熱すると見られている。現時点でのPayPayの利用可能店舗としては和民、白木屋、メガネドラックなどがあり、4日からはファミリーマート、ヤマダ電機、ビックカメラなどが追加された。近いうちにミニストップ、ビッグエコー、ジーンズメイトなどでも利用が可能になるという。

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 今回の100億円キャンペーンについて、司会進行の小川彩佳アナが「"炎上商法"的なところもあるのでは」と尋ねると、三上氏は「それはあると思う。メディアもPayPayそのものよりも100億円についてを報じているので、宣伝効果は大きい。ただし、転売やポイント稼ぎのために使ってしまうユーザーも現れているので、本当にPayPayの普及に役立つのかはちょっと微妙かもしれない」とコメント。「PayPayは後発なのでこれからシェアを取らなければいけない。レストラングループやコンビニグループをどこが早く押さえるかという競争だが、今のところPayPayはまだかなり限られている」と説明。

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 Fintech協会理事で、スマホを使った決済サービスを提供する株式会社Kyashの鷹取真一代表取締役は「同時に使える場所を増やしていくという取り組みも含まれていると思うので、そこの開拓費用としての投資だと考えている。卵が先か鶏が先かという議論になってしまうが、100億円という規模なので、両方を一気に促していくという狙いなのかなと思う」と指摘。松浦シゲキ氏は「アプリをダウンロードしてもらうための宣伝費用などは一般的に1人あたり500~1500円かかる。どんなアプリでも、"ダウンロードで1万円もらえる"というキャンペーンをすればユーザーは増えると思うが、継続的に使ってもらえるかどうかは別問題だ。現時点では使える場所が一部のコンビニエンスストアなどに限られているので、普及にはもう少し時間がかかるのでは」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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