カジノを含む統合型リゾート(IR)整備法で懸念されるギャンブル依存症。正式名称は"病的賭博"といい、WHOも認める精神疾患の一種だ。日本では成人の3.6%、およそ320万人が罹患していると推計されており、これは先進国の中でダントツの数字だ。先日開催が決定した大阪万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、健康、長寿の実現を目指すというが、大阪も名乗りを上げるカジノ誘致の結果ギャンブル依存症が増えれば、テーマと反対の結果になるのではないかという声も上がっている。
8日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した元関脇の貴闘力氏は、現役時代にギャンブルにハマり、稽古と寝る時間以外はギャンブル漬け、という日々を送った。カジノや競輪、競馬などで負けた総額は5億円に達するという。「こんなアホな親方に任せていたらもう潰れるから、廃業届を出した。嫁さんとも離婚すると」と当時を振り返る。
「ギャンブルは面白いし、日本人は好きな人種だと思う。カジノが始まれば、依存症のパーセンテージは間違いなく上がる」との考えを示し、「日本人客は入場料6000円」「入場は週3回、月10回以内まで」「マイナンバーカードで本人確認」「IRでの延べ床面積比率3%以内」「3か所で限定的に施行(7年後見直し)」といった依存症対策案についても「あまり意味がない」と指摘。「ゆとりがないから楽しい。切羽詰まって、これに勝たないと人生終わってしまうとか、明日どうやって生きていこうかという"苦しさ"が快感。そういう人間が20人に1人くらいの割合でいるということだ」。
大王製紙元会長の井川意高氏も、そんなギャンブル依存症の恐ろしさを身をもって体験した一人だ。子会社から借り入れた100億円以上の金を全て海外のカジノにつぎ込み、特別背任罪で懲役4年の実刑を受けたことで有名で、自著『熔ける』では、「脳内に特別な快感物質があふれ返っているせいだろう。丸1日半、何も食事を口にしなくても腹が減らない。カネか時間が切れるまで勝負はいつまでも続く」と綴っている。
貴闘力氏は「井川さんは東大法学部を出ているし、間違いなく脳みそはトップだ。それでも時間が続く限りやってしまい、会社のお金を100億円以上も使ってしまう」と話す。
IR整備法案では、「特定金融業務」として、一定金額をデポジットできる人に対しては2か月間無利子でカジノ資金を貸し出すことが可能となっている。2か月以内に返済できなければ14.6%の遅延損害金を加えて請求ができ、取り立ては外部の業者に頼んでもいいということになっている。
これについても貴闘力氏は「借金してでもやりたくなる。韓国などでは高利貸しみたいなのが来て、自分にある程度の資産があれば貸してくれるが、後で必ず苦しくなる。負けが続いて、何とか取り戻そうとしてまた借りる。それが積もり積もって破産してしまう。特定金融業務は絶対にダメだ」と訴えた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)