![「まともな検察のやり方ではない。OBも心配している」ゴーン容疑者再逮捕に元検察官が警鐘](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/724w/img_464baf398ed876a0db797d9186c4f484122879.jpg)
自身の役員報酬の虚偽記載で東京拘置所に勾留されている日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者と、その側近のグレッグ・ケリー容疑者2人が10日に再逮捕された。
今回の再逮捕では、2018年3月期までの直近3年間に関しても、報酬を約40億円少なく記載していた疑いが持たれている。これにより、ゴーン容疑者の報酬は約90億円少なく報告されていたことになる。ゴーン容疑者ら2人は、報酬を退任後に受け取る計画があったことは認めているが、退任後の支払いは確定したものではなく、記載義務はないと主張している。
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一方、東京地検特捜部は、日産本社の秘書室などで極秘に保管されていた複数の文書を押収している。そこには、ゴーン容疑者の退任後の報酬総額が1円単位で書かれ、中には西川社長のサインが記されたものもあったことから、支払いが確定していたとみている。特捜部は10日、「長年にわたる不正を許した罪は重い」と判断し、会社としての日産も起訴した。
ゴーン容疑者は同じ容疑での再逮捕となったが、2回に分けることで勾留期間を伸ばすことができる。元東京地検検事の郷原信郎弁護士はそのやり方に「この事件は、8年間にわたる一連の事件。それを過去の5年と直近の3年に分けて、逮捕・勾留を繰り返すというやり方は、これは検察としてはまともなやり方ではない。最初から予定していたとすると、はっきりいって狡い」と苦言を呈する。
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今回、会社としての日産も起訴されたが、郷原弁護士は「2017年と2018年の直近2年は西川社長に責任がある」として、「記者会見では『悪いのはゴーンだ』と呼び捨てにまでしていて、自分にも責任があると考えていればああいう言い方にはならないはず。その2年の責任は非常に重大な問題になってくる」と指摘。また、有価証券報告書の虚偽記載の罪はそれを“提出すること”にあるとし、「2011年からの5年はゴーン氏がCEOで、ある意味ゴーン氏だけの責任だった。しかし、直近2年は西川氏が正しい有価証券報告書を提出する責任を負う。報道では文書の一部に署名していたということで、役員報酬を先送りすることはわかっていたはず。そうなると、その2年については西川氏の方が刑事責任の中心にならざるを得ない」と述べた。
西川社長をめぐってはさらに、ウォール・ストリート・ジャーナルが「ゴーン前会長が逮捕前、11月下旬の取締役会で西川社長の解任を諮ろうとしていた」と報じている。郷原弁護士は「ゴーン氏よりは少ないが西川社長も4億円という報酬をもらっていて、そうなると個人的な動機もひょっとしたらあったのかもしれない」とも推測した。
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ゴーン氏は日産の資金で海外の不動産を購入させたり、姉と業務実体のないアドバイザリー契約をしたりするなど会社の私物化も指摘されているが、「特別背任」での立件はできなかったのか。郷原弁護士はこれを否定し、「特別背任が立件できるのであれば、直近3年の虚偽記載で再逮捕なんてしない。特別背任は会社に損害を与えることが犯罪だが、日産の名義で買った海外の不動産をゴーン氏が自宅のように使ったとして、家賃相当分の利益を得たとは言えても損害はない。最初から無理な話だったと思う」と述べた。
そして、検察に対しては「検察がトップエリートだというのは幻想で、間違っている。少なくともこの10年、20年を考えると、正義じゃないことを山ほどやってきている。今回もいろいろな検察OBが本当に心配している」とOBの立場から警鐘を鳴らした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)