来年1月19日インドネシア・ジャカルタで開催される大会「ONE Championship ETERNAL GLORY」で、ONE世界ストロー級のタイトルに鈴木隼人が挑戦することを発表した。
元王者内藤のび太、鈴木に加え、“第3の男” 猿田洋祐も先日のマレーシア大会で強豪アレックス・シウバに完勝し名乗りを挙げた。まさに「パシオvs3人のサムライ」という構図となったONEストロー級戦線に注目したい。
まずは、2017年の12月に遡る。この時まで、ONEのストロー級タイトルは、内藤のび太と、ブラジルのアレックス・シウバの2強に対し、フィリピンの新鋭、ジョシュア・パシオが急成長を遂げて追い上げるという状況だった。
2017年12月にシウバが内藤を倒し王者を奪取すると、2018年5月の大会で内藤がリベンジに成功。再び王者になった内藤を9月の大会でパシオが判定で下し、悲観の初戴冠…と、この1年間、3人が1度も防衛を成功せずに目まぐるしくタイトルが移動し続けた。
この3人の争いをさらに混沌としたのが、鈴木隼人の存在だ。元GRACHANフライ級王者という名を引っさげて2017年に参戦。アレックス・シウバに一本取られタイトル戦線から一度は後退するも、2018年はヤゴ・ブライアン、ロビン・カタラン、ポンシリ・ミートサティートに3連勝。11月のポンシリ戦での鮮やかな1本勝ちのあと、リング上で3月の日本大会での王座挑戦をアピールした。
この時点で内藤、鈴木、シウバほぼ横一線上に思えた戦線に名のりを挙げたのが、修斗世界ストロー級王座の猿田洋祐だ。12月7日のマレーシア大会開催直前での緊急参戦にも驚いたが、タイトル争いの一角の担う強豪アレックス・シウバとの対戦。試合まで2週間という準備期間に、圧倒的に猿田不利という下馬評も仕方がない状況だった。
そんな難敵相手のデビュー戦だったがほぼ完封勝利という見事な内容だった。試合は1Rから猿田が、シウバの組つきを絶妙にさばきながら、打撃戦では右ボディ、右オーナーハンド、左右のローと多彩に当てて主導権を握る。組の攻防でもシウバを投げ飛ばして見せた。2Rローブロー受けるも、再開後もテンポよく距離を保ちながら右フックなどの打撃で対応。シウバのタックルに対しても、腰の強さをみせ、組み際のヒザやかぶり姿勢での顔面と手足の攻防を緩めない。最終3Rも打撃戦に冷静に対処しタックルを決め。終盤も着実にパウンドでの鉄槌、ヒザ蹴り。終盤でジャッジに最終アピールするテイクダウンと、文句なしの判定勝ちを掴む内容。当然ながら3-0で猿田が支持され、元ONEストロー級王者の復帰戦に黒星をつけた。
猿田の印象的な勝利により、ONEの運営は今回、一足早い1月の大会に、若き王者・パシオと鈴木隼人というフレッシュなカードを設定したが、この決定にはある思惑があると推測される。
約1年前に鈴木にパシオは屈辱の1本を取られキャリア2敗目を喫した。まずそのリベンジマッチという意味合いも強い。1年間で急激に力をつけタイトルまで手が届いたパシオへの最初の刺客という意味でのストーリーも作れる。さらにパシオの生涯成績、13勝2敗の2つの敗戦は内藤と鈴木というふたりの日本人ファイターによるものだ。1月の鈴木に続いて、3月の東京大会で元王者・内藤のタイトル再挑戦が用意されていると予想する。
「A NEW ERA」というサブタイトルが付けられた、初のONE Championshipの日本大会。軽量級の激戦区、ストロー級は、日本人選手を中心に新たな時代に突入する。