組閣会見で安倍総理が「今回は適材適所の考えの下、実務型の人材を結集した」と説明した第4次改造内閣だが、今回の臨時国会では、その閣僚たちの資質に疑念が生じることも多かった。
まず、安倍総理が「(女性閣僚は)1人ということになったが、2人分、3人分の発信力をもって仕事をしていただける」と期待感を示した片山大臣には、週刊誌報道をきっかけに"100万円の口利き疑惑"が浮上。その後も政治資金報告書の訂正は40カ所以上、総額で500万円を超えた。
教育勅語に関する発言が問題視された柴山文部科学大臣も、後援会のバスツアーの収入が報告書に記載されていないことが指摘された。仮に柴山大臣側が負担したとすれば、公職選挙法違反となるが、会見で柴山大臣は「全て会費を徴収しており、地元有権者へ供応接待を行ったという事実はない」と否定している。
さらに宮腰沖縄北方担当大臣も、6000万円に上る使途不明金が発覚、「政治資金につきましては法令に従い、適切に処理をし、その収支報告をしてきたところだ」と釈明した。宮腰大臣をめぐっては、議員宿舎内を酔っ払って全裸でうろつき、他の議員宅のチャイムを押したことが発覚、謝罪に追い込まれている。
閣僚の相次ぐ"政治とカネ"の問題に、15日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した自民党の平沢勝栄衆議院議員は「済まない。ただ、政治資金の記載は、どこの事務所でも秘書がやっているので、しっかりした秘書を置いておけばこんなことにはならなかったと思う。私の事務所では担当の秘書を置いて、税理士がちゃんとチェックすることになっている」と説明、国民民主党の山井和則衆議院議員も「うちもきっちりやっているし、1つ2つの小さな誤りはどの議員にもあるかもしれないが、片山さんの場合は数も額もあまりに大き過ぎる」と批判した。
政治評論家の有馬晴海氏は「"記載ミス"というのはもう通用しないし、訂正をすればいいということになっているが、聞き飽きた。甘すぎるというか、"うまくやっちまえ"、という人もいらっしゃるんじゃないかと思う。私は裁判員制度的なものを設けて、8割くらいの人が"この人は故意にやったんじゃないか"と思った時にはもう議員になれない、永久追放にすることに決めれば、綿密に記載するようになると思う。そろそろそういう時代が来てもいいと思う」と厳しい見方を示した。
"適材適所"だったはずの新閣僚をめぐる問題は、カネの問題に限らない。
五輪担当大臣の桜田義孝大臣は答弁での言い間違え、また、担当するサイバーセキュリティについても「自分でパソコンを打つということはない」と述べるなど、その資質に批判が集中した。
山井氏は「個人名を出して恐縮だが、桜田大臣はふさわしくない。オリンピックに全然詳しくないし、パソコンも使えない。野党も困っている。大切な国会審議の時間を低次元な質問で使いたくない。あまりにもレベルの低い人には辞めてもらわないと国家の損失になるし、世界から笑われる。単に当選回数が6回だから誰でも大臣になれるということではダメだと思う」と指摘。
さらに「この方々(片山氏、桜田氏)よりも大臣にふさわしくないのが麻生大臣だ。財務省は加計問題で資料を改ざんし、隠蔽し、国民をある意味で1年近くも騙し続けてきた。また、志のある大阪の財務省の職員が残念ながら自ら命を絶たれた。そこまでの大事件が起こったのに続投した。私は国会議員を十数年やっているが、一番ショックだった。こんなことはおかしいし、国民も税金を払う気がなくなる。その責任を大臣が取らなくて、誰が取るのかと。記者会見での記者に対する口のきき方もバカにしたようなところがある。何でああいう人を安倍総理が重用するのか分からない。資料を改ざんして、嘘をつき続けたら大臣から褒めてもらえる、総理からも褒めてもらえる、出世もできるとなったら、民主主義が成り立たない」と批判した。
平沢氏は「片山さん、桜田さんのためにあえて言わせていただくと、お二人とも優秀な方で、地域の有権者はそのことを知っている。片山さんはいつも全国区のトップクラスで当選しているし、桜田さんは大工さんもやって、苦労も知っているので、東京に通うサラリーマンの非常に多い街・柏の方々が"やっぱりこの方は間違いない"ということで選んでいる」とフォロー。麻生大臣についても「一言でいえば、いま替えるわけにはいかない。経済財政政策を考えた時に、替えたら大変なことになるという思いがあると思う。非常に優秀な方だし、話も非常に分かりやすい。これほど本音を言ってくれる方も珍しい。政治家はいつも腹の中では別のことを考えている人も多い中で、本音を全部言ってくれる」と話した。
有馬氏は「本当は安倍さんが6年前に組んだ内閣のまま、ずっと同じ人が継続した方がいいに決まっているが、やはり1年に1回ずつ人事をやって変えていかないと、という事情があったと思う。3年3か月の民主党政権では大臣をやった人が68人いるが、一方で自民党では70名くらいが大臣になれずに滞ってしまった。その人たちに大臣が回ってこないと党内に不満が起こる」とした上で、「安倍内閣の6年間、ずっと麻生さんがいた。安倍さんからすると、安定感があって、財務については任せておけばいいということで、ありがたい存在だと思う。消費税をどうしてもあげたい財務省がいて、麻生さんがその旗振り役を一生懸命にやっている。だから財務省からもかなりバックアップされている」と話していた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)