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 バスフィッシング界において釣り方はもちろん、その言動に至るまで、常に脚光を浴びるトップアングラーがいる。オカッパリといえばこの男、金森隆志だ。メディアに登場してから20年、金森は当時から“オカッパリオンリー”で活動を続けてきた。いまではオカッパリ目線のタックルを作り出すメーカー、レイドジャパンを起ち上げ、膨大な経験をアイテムにフィードバックさせている。そんなブームメーカーに、オカッパリの「過去と未来」について聞くと、熱い想いが返ってきた。

 「そもそもバスフィッシング好きのみなさんは、いまのオカッパリをどう捉えていますか?」っていう逆質問。質問に質問で返すのはセンスがなくて、申し訳ないのですが……。でも、それがやっぱり未来のオカッパリを作ると思います。釣りに限らず社会、歴史自体がそうで、志を持った人が物事を変えていく。これと同じで、いまの釣り人が将来に何を願うかだと思っています。

 昔のオカッパリは、ボートを持っていない、あるいはボートの準備をするのが面倒だからその代わりに手軽に釣りをする。これだけが理由でした。僕からすれば、生意気な意見になるかもしれませんが、僕の考えるオカッパリと、おそらくみなさんが考えているオカッパリとは、少しギャップがあるような気が、正直しています。

 オカッパリの利点、メリットとはなんでしょう? 地に足を付けること。そしてこれはデメリットにもなりますが、場所が限定されるということです。そうなると、エリアポテンシャルを見抜く力が必要不可欠になります。ただ場所がある、足場があって立てるからそこで釣りをする。これはかつてのオカッパリです。

 でも未来のオカッパリを考える上ではそこが重要で、限られる環境下でやるオカッパリはボートよりも圧倒的にそのスポットの特徴を知らなければ成立しないし、そのポテンシャルを引き出す術を知らなければ当然釣ることはできません。なので、僕がいま取り組んでいるオカッパリというのは、粘るべき理由がある場所、ポテンシャルがある場所で、そのポテンシャルを最大限に引き出すアプローチやルアー、釣り方を常に考えてぶつけていくこと。こちらからポテンシャルのある場所を探して動いていくことです。

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釣るための場所を見抜き、そこにマッチしたアプローチで仕掛ける

 それは、かつてはトーナメンターたちが磨いてきたスキルです。オカッパリは立てる場所があれば否応なしにそこで釣るしかない。そうではなく、場所を探し、探し出した上でのアプローチ、より高いキャストの精度が求められる。さらに近寄れない分、遠投力も求められる。そしてまたそこにマッチしたルアーやリグを選別する力も求められます。それはボートの釣りよりも、もっとシビアなスキルでしょう。

 僕が思い描いているオカッパリの未来は、『オカッパリをやってる人が一番うまいよね』と、言われることです。僕はその土台をつくるために精一杯オカッパリをやっているし、そのためにはボートにも乗っています。トータルの部分でオカッパリをネクストステージに上げるために活動をしているということです。ホント、おこがましいですが(笑)。

 僕にとっても、最初はオカッパリはお手軽な遊びでした。でもコンプレックスがあったんです。運良くいろいろな方の手助けがあってこの世界に入らせてもらいましたが、当時必ず言われていたのが、『ハイハイ、オカッパリね』でした。『ハァ!? すごいバカにされてる!?』。『ボートで釣るのってそんなに偉いの?』。心のなかで思いました。あくまでも心のなかで、ですけど(笑)。

 「絶対にオカッパリがすごいってことを証明してやる」と思っていましたね。その思いがいまの僕を作ってくれたわけですから、いま考えるとありがたいんですけど。そんなことがあって僕が思い描く未来が『オカッパリをやっている人が一番うまい』になったんです。お手軽だからじゃない、もちろんそれも魅力のひとつですが、それだけじゃない。ただ、いまオカッパリのステージを挙げてくれた要因としては、陸王(雑誌『ルアーマガジン』の人気企画)の影響は大きいですね。リザルトがパブリックに記事として残る。

 それとトップトーナメンターでもメディアでオカッパリの取材をすることが多くなったこともありますね。それによってトップトーナメンターがオカッパリのすごいところを理解してくれたり、逆に僕自身もボートに乗ってチャレンジしたりすることで、改めてトーナメンターのすごいところが理解できました。そういう意味ではボートの釣りも、かつての僕のコンプレックスの対象ではなくなりました。いわゆる対立ではなく、融合です。

 だからいまから先5年くらいかな、これだけは言えるのが、オカッパリだけがすごいでも、ボートだけがすごいでもダメで、オカッパリとボートとトータルでアジャストできるアングラーがエッジにいられるでしょう。そして、さらに抜きん出られる存在となるのが、『オカッパリを極めた釣り人』だと思っています。

(C)AbemaTV


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