アジア最大級の格闘技イベントONE Champonshipと契約、格闘技界の最前線に戻ってくる秋山成勲にインタビューを行なった。現在43歳、3年あまり試合から遠ざかっていた秋山が新たな戦場を求める心境とは。目標、そして最終的なゴールまで、思いの丈を語ってもらった。
――ONEでの最初の試合はいつ頃になりそうですか。
秋山 しっかり仕上げてから出たいですね。普通なら2、3ヶ月で準備できると思うんですけど、今回はその倍はほしいなと。
――ということは半年くらい。来年の夏前くらいですか。
秋山 練習はしてきたんですけど、今回は特に入念に。他の仕事もセーブしながらになると思います。そこは軽く考えてないですね。
――試合をしていない間、芸能界などで築いてきたものもあるとは思いますが。
秋山 そうなんですけどね。なのでそこの兼ね合いをしっかりやらないといけない。
――日本大会が3月にありますが、それにはこだわらず?
秋山 はい。気持ちとしては、日本だけじゃなくアジア全体を盛り上げたいと。
――ONEとしても、秋山さんとの契約にあたって韓国市場を考えている部分もあるんでしょうね。
秋山 だからこそ私と契約したんだと思います。その狙いは自分自身、分かりますし。自分もそこに協力できるというのがあっての契約でしたから。そこはwin-winになるように。
――今の韓国の格闘技熱はいかがですか。
秋山 ファンの目が肥えてきてますね。ただUFCがそうなんですが、テレビで無料で見られるか、有料なのかも大きいんですよ。そういう意味で放送に形式も大事ですし。それプラス、もちろんその土地でアピールできる選手も重要でしょうね。
――その部分で秋山選手はONEのパートナーになれると。
秋山 面白くなりそうです。楽しみですね。
――あらためてですが、選手としては年齢やブランクをどう考えていますか。
秋山 影響があるかないかで言ったら、それはあると思います。それも受け入れないと。反発して強引にやろうとしてもきついと思うんですよ。歳も歳だし、ブランクもある。川の流れじゃないですけど、うまく流されながら渡っていくやり方もあるんじゃないかと。流されるところは流されて「ここは逆らわないと」というところは逆らって。そういうことができる経験値はあると思うので。2019年は44歳になる歳なんですよ。だから「44でこれか!」っていう試合が見せられたら楽しいですね。
――「若い頃と変わらない」という意地の張り方はしないと。
秋山 それを目指そうとは思わないです。試合を見てどう評価するかはお客さんしだいですし。
――結果として「強い!」となればいいと。練習その他で以前からの変化がありますか?
秋山 量より質になってるような気はしてますね。以前は質より量でしたから。今は量をやりすぎるとケガにつながりやすいですし。そうなる手前でやめる感覚も掴めましたね。練習を休む勇気というか。
――現時点でゴールは考えてますか?
秋山 ONE側からも言われてますけど、まず目標はベルト。そこで一段落というか、チャンピオンになってみる景色をどう感じるかですよね。それともちろん、韓国、アジアを盛り上げる役割をしっかりしなきゃいけないとも思ってますね。
――「何歳になるまで」ということではないと。
秋山 何歳というより、ボロボロになって体が動かなくなったら終わりですからね。そうなるまでやりたいなっていう気持ちもありますね。ここまできたら、中途半端なことしても仕方ない。「もう無理だ」と思ってやめるのもいいのかなと。
――ベルトを目指すけども、ベルトを巻いてスパッとやめるという感じでもないですか。
秋山 いや、もうカッコつけても仕方ないので。
――変な話ですが、格闘技の世界からフェイドアウトしなかったのも凄いと思います。
秋山 みんなフェイドアウトすると思ってたんじゃないですかね。今は若い選手も多いですから、20歳くらいの選手と闘うかもしれないですよね。自分が20歳くらいと考えたら、44歳の選手なんて「なんだこのオッサン!?」と思うでしょうね(笑)。でもそれも楽しいかなと。
――秋山さんは「格闘代理戦争」でONE参戦を目指す選手をバックアップする側でしたけど、自分も契約することになったのは面白い流れですね。
秋山 俺も行くのかっていう(笑)。巡り合わせというか出会いというか。縁をどうつなげて、広げるかっていう。そこは大事にしなきゃいけないなって、この歳であらためて痛感しましたね。
――いろんなことがつながってくると。
秋山 つながってますね。こっちでいい顔して、あっちで悪いことしてもバレるというか、使い分けられないなと。
――番組で秋山さんが指導したユン・チャンミン選手がONEと契約して、今回は秋山さんが契約して。
秋山 チャンミンからは速攻で連絡がきましたよ。「おめでとうございます」って。お祝いされちゃいましたよ。なんか向こうが先輩みたいな(笑)。
――チャンミン選手と同じ大会に出ることもあるかもしれないですよね。
秋山 それも含めて縁ですよね。面白いですね。