俳優として活躍しながら、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」TEAM雷電の選手としても奮闘する萩原聖人が、プロ雀士挑戦とともに始めたSNS、Instagramについて「ちゃんとおれを応援してくれている人がこんなにいるんだってことを知った」と、直接ファンから声援を受けることへの思いを語った。「素を見せることが役者の世界でマイナスになることもある」と敬遠してきたが、MリーグのPRのためにと始めたSNSによって、新たなファンとの関係を経験した。
麻雀については、兼ねてからプロ級の腕前を誇り、テレビ対局などでもプロ以上に華々しい活躍をしてきた。10月から開幕したMリーグでも、全21人の中では圧倒的な知名度を誇るだけに、開幕当初から「広告塔」の役割も自ら率先して果たしてきた。そんな中でPR活動の中で、1つの手法として取り入れたのがSNSだった。「俳優をやっていても、あんまりファンの生の声を聞くことって、意外と少ないんですよ。あと、素を見せることがマイナスになることもあるので。だからやってはいなかったんです。むしろ大嫌いでした」と苦笑いした。
ただ、Mリーグでの活動の様子や、俳優仲間とのちょっとした時間に麻雀を絡めて投稿すると、ファンからは多くの反応が得られた。「始めてみたら、ファンが本当にいるんだなって。こんなにいるんだってことを知れただけでも、力になりました」と、熱っぽく語った。1987年にテレビドラマで少年役としてデビューし、舞台役者としてのキャリアも長くなった。演技派俳優として出演したドラマ、舞台、映画は無数にある。その演技を評価する声こそあれ、各種メディアから酷評されたことは、本人の記憶にないという。ところがプロ雀士、Mリーガーとしての活動をスタートさせると、始めたばかりのSNSにはファンから様々な声が飛んできた。
ネットという広い海に無造作に放り込まれた批評は気にならないが、直接自分のアカウントに伝えてくる声には、全て目を通している。「本人に直接、ちゃんと書いてくれている人は、なんかこう覚悟を持って書いてくれている気がするので。いい言葉だけじゃないですが、一緒に喜びたいという気持ちが一番伝わってくるので、エネルギーというかパワーになるんですよ」と、顔も見えぬファンからのメッセージを、対局中の手に込める力に変えている。
評価や結果が明確に出ない俳優業とは異なり、プロ雀士は「順位」「点数」といった数字がダイレクトに表に出る。それだけに、ファンからもその数字をもとに、いろいろな声が飛んでくる。ただ、その声を萩原は真正面で受け止めている。「これは芝居でもそうですけどね。真摯に受け止めたいと思うので。それにこれだけ応援してくれる人がいるなら、たとえばラスを引いたとか、個人最下位になったとかでも、大したことじゃないんですよ」と、目先の数字よりも、自分の演技や麻雀に注目をしてくれている人の声の方が、今の萩原にとっては何にも変えがたい。
所属するTEAM雷電は12月20日で年内の試合を終えリーグ3位。個人成績では18位で年を越すことになった。12月に限って言えば、5戦でトップ3回、2着1回と完全に勢いをつけた。「(自分の生活に)Mリーグが入って物理的には忙しくなってるんですけど、一切苦にならないんですよ。何もかもが。麻雀も役者の仕事も」。21選手の中で最も多忙ながら、とにかく目の前の勝負、演技に全力を尽くす。それができるのもSNSで寄せられるファンの声のおかげだ。【聞き手・構成 小松正明】
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