2018年12月31日、さいたまスーパーアリーナで開催された「RIZIN.14」は、エキシビションがメイン(最終試合)という異例の大会だった。

(試合後、落ち着いてメイウェザー戦を振り返った那須川)

ボクシング界の伝説的ファイター、フロイド・メイウェザーキックボクシングの“神童”那須川天心のボクシングルールでの激突である。3分3R、判定なしだがKOはあり。体重差があり、蹴りが封じられた中でも、那須川は50戦無敗、世界5階級制覇の強豪に一太刀浴びせてKOを狙う気満々だった。それがたとえ無謀であっても、だ。

結果は、1ラウンドTKO負け。側頭部に左フックを食らい、初めて「効かされる」感覚を味わった。吹き飛ばされるようにダウンすると、そこから2度のダウン。合計3回のダウンを喫し、タオル投入でのTKOとなった。

エキシビジョンだから、この結果は公式の戦績としては残らない。しかし「心には一生残ります」と那須川。リング上で悔し涙を流す姿は、あまりにも切なかった。

階級が上の選手のパンチで倒されただけに、ダメージも気になるところ。ただ、那須川の闘志は衰えていない。

「もう怖いものはないですから。あれ以上強いパンチはないと思うので」

また収穫として「メイウェザー選手の技を盗めた」というコメントも。「やっぱり一流」と、その実力を認め、その一方で「普段の態度は真似しないですけど」とユーモアも見せる。このあたりの感覚も、那須川の非凡なところだ。

「今日のことは絶対に忘れない」

まずは体を休めるのが最優先だが、これからも“神童”の闘いは続く。倒された悔しさ、メイウェザーという世界最高峰に触れた経験、賞賛と批判。すべては那須川天心だから得ることができたものだ。

榊原信行実行委員長も認めているが、RIZINがメイウェザーをリングに上げることができたのは、那須川がいたからなのだ。他の選手が立ち向かうというわけにはいかなかった。那須川天心は「RIZIN.14」の主役としての仕事をまっとうした。それは間違いない。

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