上野で開催中の「ムンク展」。約100点に及ぶ作品の中で一番の人気は、やはり「叫び」だ。耳を両手でふさぎ、口を大きく開けて立ち尽くす人物は、ムンク自身が悩まされていた「幻覚」の症状を表しているとされる。当時のムンクの日記には、「太陽が沈みかかっている夕刻にフィヨルド沿いの道を歩いていると、自然を貫く大きな叫び声が果てしなく続くのを聞いた」と記されているという。
 幻覚は「対象なき知覚」とも言われており、本当はないものが見えるなど、五感(聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚)それぞれに発生するという。原因としては"脳の誤作動"と言われており、統合失調症、PTSD、薬物、認知症などによって起こることもある。