1月31日の衆院本会議において、安倍晋三首相が「毎月勤労統計について不適切な調査が行われ国民の皆様にお詫び申し上げます」と謝罪した。
今月1日には賃金構造基本統計について、決められた調査法が行われていなかったことを把握しながら総務省への報告が遅れていたことを受け、根本匠厚生労働大臣は政策統括官だった大西康之氏を更迭し「統計の信頼回復のために最大限の努力をしていかなければならない」と話すと、報告漏れがあったことについて「大変遺憾」と発言。一連の流れを受け、自民党厚生労働部会長の小泉進次郎氏は「厚労省は回っていない。全体のガバナンスが効いていないところが相当あらわになっている。大変不安を覚える」と厚労省の現状を真っ向から批判した。
事態が収束の気配すらないこの問題について、3日にAbemaTVで放送された『Abema的ニュースショー』に出演した元厚生労働大臣の舛添要一氏は「所詮3流官庁。年金に比べればレベルが低すぎる」と一刀両断。自身の在任中に年金問題を経験したことを踏まえ、厚労省の内部実態について次のように解説した。
「問題となっているのは2004年からのこと。私が厚労大臣を務めていたのは2007年から2009年なので、内心としては忸怩たるものがある。反省しなければいけない」と前置きをした舛添氏は「ただ、秘書官レベルまで上がってこない。さらに毎月の統計が不正だとは、民主党政権下も含めて思っていない」と本音を明かした舛添氏が、まずポイントに挙げたのは「役人の質」だ。
「役人にはキャリア(総合職)とノンキャリア(一般職)があり、それぞれに専門の方がたくさんいる。そのため、キャリアは仮に細部まで知らなくても、今回の件については全体を見渡して『三分の一しか見ないのはダメ』と言える人間でなければならない。つまり、キャリアの質が低い。東大法学部を出て公務員試験を通るとキャリアになる。しかし成績の良い順に財務省、経産省というように配置されるので、文科省や厚労省は一番下なんです。さらに統計なんて地味な作業で、次官を目指している人からすると、早く2年間を過ごして医療や年金など“日の当たる場所”に行きたいというのが本音なんです」
役人の質やキャリアとノンキャリアの関係性、また厚労省の中で全体を俯瞰するキャリアのシステムが不十分だったと指摘した舛添氏は次に「統計を舐めている」と厚労省を痛烈批判した。
「日本人に総じて言えること」と指摘した舛添氏は「年金は記録の問題だが、公文書や統計は調査の問題。国民生活や経済活動を見るときの基盤であるにも関わらず、その感覚がダメ。戦前では国は戦争に負けているのに、勝っていると嘘をつき続けた。その反省を踏まえて1947年に統計法ができたが、当時の統計法は統計とは何であるかではなく、技術的なことしか書いていなかった。そのため私が大臣を務めた2007年に抜本的な改革を行い、目的のところに『国民生活の基盤であり重要だ』と書いたのに、誰も意識していない。本来、統計の担当になったら胸を張っていいはずなのに、社会の評価が低いことも問題。以前、福田康夫さんが首相の時は、『公文書は大事だ』と言い続けた結果、公文書が整理された。いま安倍首相は『統計は大事だ』という必要がある」と持論を展開すると、役所や大臣関係なく会計の不正を指摘する会計検査院を例に挙げ、統計の不正を指摘する統計検査院の必要性を訴えた。
「今は無いのか?」とMCの千原ジュニアに問われると「総務省の下に統計委員会がある。しかし、総務省が悪さをしたら、その下にある統計委員会でいいのかということになる」と答えた舛添氏は最後に、「特別会計の闇」についても言及。「役人の隠し金庫」と例えると、不正統計との関連から次のように問題点を解説した。
「税金と社会保険料の区別がつかない。今回の不正統計によって、失業保険の給付金額が低くなった。追加支給に必要な金額は600億円だが、振込手数料などの経費が別途200億円必要になる。予算を組み替える必要性が生じて混乱しているが、一般会計から計上されたのは6億5000万のみ。残りの793億5000万は、国民の給料から毎月天引きされている雇用保険を含む社会保険から支払われることになる。本来支払われるべき600億に充てられるのであれば理解できるが、なぜ、ミスによって生じた200億の諸経費にも労使の積立金が使われるということになるのか」
この説明を受けた出演者がしばらく言葉を失っていると、「今の日本は失業者がいなくて、さらに外国人労働者をどんどん増やさないといけない状況。つまり、失業用の雇用保険はジャブジャブ余っている。それが、役人の隠し金庫になっている」と懐に何かを忍ばせる仕草を見せた舛添氏は「オレが出した社会保険料だと言わなければ。これは騙しのテクニックだ」と、その矛先を“声を上げない国民”に対しても向けていた。
(C)AbemaTV
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