
2018年はNHK連続テレビ小説「半分、青い。」をはじめ、『春待つ僕ら』や『曇天に笑う』など4作品もの映画に出演。ファン層をぐっと拡大させた若手俳優・小関裕太が本格的な時代劇に初挑戦!日本のマラソンの発祥と言われている史実・安政遠足(あんせいとおあし)を舞台とした映画『サムライマラソン』(2月22日より全国公開)に出演する。
本作の原作は土橋章宏の小説『幕末まらそん侍』(ハルキ文庫)。時は幕末、迫る外国の脅威に備え、安中藩主・板倉勝明(長谷川博己)は藩士を鍛えるため、十五里(約58km)の山道を走る遠足(とおあし)を開催する。勝てばどんな望みも叶えられるという夢のような大会のはずが、とある行き違いにより幕府への反逆とみなされ、藩士不在の城に安中藩とり潰しを狙う刺客が送り込まれてしまう。ただ一人、迫る危機を知った男・唐沢甚内(佐藤健)は、計画を食い止めるため、走り出す─。
佐藤健、小松菜奈、森山未來、染谷将太、青木崇高、竹中直人、豊川悦司、長谷川博己……と豪華キャストが名をつらねる中、外国人監督であるバーナード・ローズが特別な思いを込めて生み出したオリジナルキャラクターが小関演じる“三郎”だ。「平和ボケした当時の日本で、戦をしたことのない侍たちが期せずして、戦で命の奪い合いになる」という様を本作で描きたいと考えていた監督は「敵側にも安中藩同様に戦をしたことのない若者がいて、結果儚く命を散らすことになる」というサブストーリーを入れたいと考え、幕府側の刺客となる若き侍・三郎を生み出した。
実は歴史好きで、中でも幕末が大好きだという小関。バーナード監督の現場は驚きの連続だったというが、待望の侍役にどう向き合い、何を感じたのか。じっくりと話を聞いてきた。
「時代劇をやらないで欲しい」バーナード監督の演出に驚き

ーー今回はバーナード・ローズ監督という、外国人監督の現場となりましたが、日本人監督の現場との違いは感じましたか?
かなり違いました!現場も違いましたし、撮影の仕方、完成した作品を見ても違いを感じました。例えば「刀を鞘に納めるシーンはカメラに映さないんだ」とか。日本人が想像する刀や、乗馬、和装などの「(外国人からすると)イケてるだろう」と思う部分を、アメリカ住みでイギリス出身のバーナードさんからすると、また別の所に日本文化の面白さを感じているのかなと思いました。
僕が演じた“三郎”という人となりも表し、『サムライマラソン』という作品のキーとなる、重要な台詞をしゃべっているのに、「このシーン顔寄らないんだ!?」「背中しか映さないんだ!?」というのもありました。現場ではかなり戸惑っていたんですけど、実際に出来上がったものを観たら、あぁなるほどなと思う部分がありました。主観的でもなく客観的でもなく、物語が勝手に進んでる中にいる、みたいな感覚で観られる映画だなと思いました。
ーー一番びっくりされた、戸惑われたことはなんでしたか?
多分海外の方だからではなく、バーナードさんだから違ったって部分は多かったと思います。まず「台本を台本通りやらないでくれ」と言われました。「台詞も君がその役であれば何を話してもいいし何をしてもいいから、自由にやってくれ」と言われていたので、役者のみなさんは本当に自由にアドリブ合戦で演じていました。時代物をアドリブ合戦でやるのは凄く難しかったです。当時無い言葉遣いとか、「マジで」とか言わないから(笑)。そういう加減をしながらアドリブで演じていました。
バーナードさんは言葉が分からないのに「今の面白かった!」って言うタイミングがあるんです。それって何なんだろうと探りながら演じていました。
ーー日本人からしてみればすごく馴染みのある時代劇というスタイルをとりながら、ちょっと違う印象でしたね。
もちろんナチュラルな作品も多いですけど、時代劇といえば「おのれ~!ワシがなんとかかんとか~!(凄みのある声色)」みたいな硬い喋り方のイメージがありますよね。でも、バーナードさんは「そういうのを全部排除して欲しい」と言っていました。「時代劇をやらないで欲しい」と。「現代の感覚で1855年の再現をしてほしい」と言われて、そこを意識しました。


ーーそうだったんですね。とはいえ、時代物ということで意識した部分はありますか?
やっぱり気を付けたのは所作や、刀……。(三郎は)使い慣れてはいないけど持ち慣れてはいるはずなので、その持ち慣れてる感とか、走り方とか意識しました。当時も西洋文化のように走るという文化があったのかもしれないけど、映画の中ではないという設定になっているので、常に腰を落とした状態で走るという昔の走り方を、もうずっと家の前で夜中に、こうやって(動作をする)練習したりしていました。
ーー(笑)実演ありがとうございます。馬に乗るもの初体験だったそうですが、難しかったですか?
難しかったです!下手な乗り方をずっと続けているとお尻が剥けていくんです。人によっては血が出て、「ジーンズ、血がついてますよ!」っていうのがありました。最初のうちは、短い期間にみんな一気に乗って身に付けようとしていたので、頑張って傷つきながらやっていました。
失恋から自暴自棄に… 小関裕太が考えた細かすぎる三郎の裏設定

ーー三郎役はバーナード監督も思い入れのあるオリジナルキャストだそうですね。面談で役が決まったと伺いましたが、どんなことを話されたんですか?
一般的なオーディションでは「台詞読んでみて」くらいなんですけど、今回は「この台本を見てどう思った?」から始まりました。オーディションという形の面接だったので、何を見られているのかもわからず、実践もなかったので、とりあえず僕はこの作品を見て感じたことを話しました。台本を読んで、登場人物たちにはみんなそれぞれ“運命”(さだめ)があって、藩主の勝明(長谷川博己)のように運命を全うする人と、甚内(佐藤健)のように運命に従って忍びとして生きていかなくてはならないけど葛藤する・運命に背く人、守衛番を解雇されてしまう又衛門(竹中直人)のように運命を失う人、この3つに分かれているような気がして、面白いなと感じました。そういうような話をたくさんしました。「ここが凄く良かったと思います。でも、僕がもし三郎を演じることになったら、このシーンはもうちょっとこういう風にしたいと思います」というようにディスカッションをする面接でした。
ーー小関さんは三郎をどんなキャラクターだと捉えましたか。
三郎は演じていて意外と現代的な人だと思いました。彼は若々しい青年で、家柄が良くて環境が整っていて馬術も剣術もやるけど、現代と同じように反抗期もあって、いろいろとうまくいかない時期でどこか腑に打ちない。そんな中、ある女性とすごく短い期間だけど付き合っていたのに、フラれてしまって、失恋をしてしまう。その恋は本当に短くてサラッと終わってしまったんだけど、三郎にとってはすごく重いもので、もうどうしたらいいかわからない。希望がない。色んな悪いことが続く中、決め手となったのがその失恋で、(三郎は)己の性格を壊したいというか、自分の核なるものを崩して新しい自分になりたいという部分と、自己嫌悪みたいなものが入り混じって、自分の今までになかった荒くれ者の環境に飛び込んだのかなと。
ーーそれは小関さんが考えたんですか?裏設定とかではなく?
はい、そうです。話し合いながら。
ーーえー!凄いです!
裏設定のヒントとなったのはバーナード監督が「この役は家柄が良くて」とおっしゃっていたことです。僕も家柄が良いパターンと、志は高いけど家柄は良くないパターン、元々荒くれ者にいそうな人がただ入団して「俺イケてるぜ」ってやっているパターンを想定していたので、提示した中で監督はそういったイメージだったらしいので、じゃあそれですり合わせていきましょうとそこから膨らませました。本番の期間中には完成したものを持ってきて、と言われていたので、それまでの準備期間に結構詰めて話し合いながら考えました。
登場人物が多いからみんなそれぞれ描かれてはいないんですけど、多分キャストのみなさん、それぞれそういうことを考えながら演じていたんじゃないかなと思います。
ーー三郎は、そういうことを思いながら、幕府の刺客に志願したり戦っていたりしたんですね。
はい。だから劇中の「僕はあなたのために国を変えたい」という台詞は嘘なんですよ。そういう目的じゃないけど、そうしないと入れないでしょうという。
ーーそれぐらい自暴自棄というか、モヤモヤしてる時期という。
そう。「もう何もいらないんです!僕は失恋したんです!」って言ったら「お前舐めてんのか!」って言われるだろうなと思って、三郎はああ言ったんだろうなと思います。
ーー面白いですね。それぐらい今もいそうな普通の男の子というような気持ちだったんですね。
現代にも通ずる思春期。そう思って僕は演じていました。

ーー演じるときはいつもそういう裏設定を考えているんですか?
考えるのは好きです。それが趣味みたいな感じです(笑)。19歳のときに出演した「FROGS」という舞台でカエルの役を演じたときは、カエルの目線に立って、大きな川があって、ここに縄張りがあって、っていうのを考えるのが楽しかったです。自分で地図を作ったりしました。
役を演じる上で全部が全部は(観客に)伝わらないけど、自分の自信にもなるし、こういう役を演じているんだっていう自覚にもなるし、楽しさがより増えると思います。
ーー小関さんは子役の頃からずっとお芝居に関わっていますよね。初めて演技をされたのはいつでしょうか?
舞台でいうと小学4年生で、ドラマでいうと小学5年生からですね。現場に行くことがいつも楽しかったです。ラマ現場に行けば演じられるし、「天才テレビくん」という番組では役者としてではない楽しさもあったし、とにかく楽しくてやっていたという感じでしたね。
ーーその頃から役に対しては裏設定を考えたり?
その頃はなかったです!
ーー今のスタイルになるきっかけは何かあったんですか?
きっかけは……中2のときに歴史が好きになってからですかね。掘り下げるということが楽しくなったのが中2で、それまで大嫌いだった社会科がその先生のおかげで大好きに変わったんです。「勉強って面白い」と思い始めて。歴史なんかは特に台本と通ずるものがあるなと思いました。人物の背景や関係が歴史に関わってくるので。例えば、後醍醐天皇は「醍醐天皇の政策に憧れて実現させようとしてるから僕は後醍醐天皇だ!」って名前を変えて、“醍醐ジュニア”を名乗っていたっていうような説があったという話を聞いたりすると、「意外に人間らしいなぁ」というような感覚を得て。じゃあ例えば悔しいとき、後醍醐天皇はどうしたんだろう?とか、リアルな人間に置き換えてみて、だからこのときにこの行動に移したのかなって考えたり。そういうのが好きでした。
ーー中学2年生でそんな風に考えられるようになるのはすごいです。ちなみに好きな時代は日本でいうとどの時代ですか?
ちょうど幕末。ペリー来航の時代なんです。
ーーぴったりじゃないですか!
そのタイミングで歴史を好きになったので。だから大好きな時代です。
ーー今後、歴史上の人物で誰かを演じられるとしたら?
ペリー!
ーーえ、ペリー!?(笑)ペリーは難しくないですか!?
(笑)希望です。あとは織田備後守(びんごのかみ)、信長、西郷隆盛。現実的な事を考えなければ、そう思います。今も馬に乗っているので、大河などに出られるように頑張ります!
極寒の山形ロケで凍死寸前

ーー映画の中ではみなさんそれぞれに見せ場があって面白かったです。お気に入りのシーンや、この人の演技に痺れたというシーンはありますか?
まだ言えないことも多いんですけど、抽象的に言うと森山未來さんがかっこよかったです。現場にいてもあの肉体!
いきなり撮影が開始されるような現場で、「この襖を開けたら台本通りこの先にこの人がいて、何人かは伝えないけどこれくらいの広さだから、そこで演技を始めて。向こうにカメラがあるから。よーいスタート!」っていうような感じなんですね。

ーーすごいざっくりとした……。
そうなんです。監督は、(三郎たち刺客は)見たことない、行ったことない場所に行くというリアルを追い求めていたので。なので、いきなり始まって、馬で駆けて来た森山さんが半裸で驚く、みたいな(笑)。
ーー確かにまさか脱いでいると思わないですよね(笑)。
思わなかった(笑)。かっこよかったです。髪もバサーッと結わずに下ろしていて、半裸で、傷ついた男が。竹中さんも裸でしたけど、なんで脱いだんだろうと思いました(笑)。印象に残りすぎますよね。竹中さんは本当に面白いんだよなぁ。
ーーあの裸は監督の指示じゃなかったんですね。
あれは竹中さんご自身です。僕はたまたま脱いでいるところに居合わせました(笑)。
ーー三郎のクライマックスの芝居は衝撃でした。田んぼの中で虫が群がって。顔にカマキリ止まってましたよね?
あのシーンもカメラがずっと回っていました。映っているだけじゃなく、もっといっぱい虫がいたんです。アップに寄っていたのでカマキリしか映ってなかったんですけど、コオロギ、バッタ、大きい虫がうじゃうじゃいて、涙が出て、頬から目の近くまでカマキリが寄ってきました。客観的に見て面白いなと思いました。
この演出は、1週間前ぐらいに監督が思いついて、たしかこのシーンは台本では三郎の目線になって虫が飛んでいる、象徴的な表現をするという予定だったんですけど、なぜか虫を乗っけるってなって、「今美術さんが虫を集めているから楽しみにしといて~!」ってなりました。「はい」としか言いようがない(笑)。
ーー虫は大丈夫なんですか?
僕は大丈夫です。だけど、本当に野生のカマキリだったので、もう少しで白目に足が刺さりそうで危ないところでした(笑)。
ーー田んぼの中にたたずむシーンも辛そうでしたね。
極寒でした。11月末に山形で撮影したんですが、前日に雨が降ってビシャビシャで。そもそも田んぼの中だし。凍え死ぬような山奥で霜もふっていました。しかもバーナードさんは黒澤明監督をリスペクトしていたので、カメラが映っていないところまで作り込むということにこだわりがあって、向こうの方で戦っているときに僕は映らないけどそこにいなきゃいけなかったんです。本当に死ぬかと思いました(笑)。

ーー最後にこの映画に出て意識が変わったこと、改めて感じたことなどありましたら教えてください!
もっと剣術と馬術を鍛えたいです。今回、もしものときのために練習していたんですけど、そこまで披露する機会がなかったので、もっと鍛えて、大河ドラマなどに出られるように頑張りたいです!
ーー小関さんの大河出演期待しています!今日は楽しいお話ありがとうございました!



テキスト:堤茜子
写真:You Ishii
(c)”SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners GAGA.NE.JP/SAMURAIMARATHON
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【映画『#サムライマラソン』インタビュー】
— AbemaTIMES (@AbemaTIMES) February 17, 2019
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