イタリアの高級ブランド「GUCCI」が今冬に発売した黒いセーター。首元は目の下まで覆うことができ、口の位置に空いた穴の周りが唇のような赤いデザインになっていることが特徴だ。
英BBCによると、この商品を見た女性がSNS上で「黒人差別だ」と批判する投稿をしたところ、これに同調する声が広がったという。この事態を受けGUCCIは「深く謝罪する」としたうえで、セーターの販売を中止した。ファッション業界では、去年12月にもイタリアの高級ブランド「PRADA」が販売したキャラクター製品に対して黒人差別との批判が相次ぎ、販売を取りやめていた。
GUCCIが批判を受けた背景には、「ブラックフェイスを連想させるのでは」という声がある。「ブラックフェイス」とはかつて行われていた差別的表現で、白人のコメディアンが舞台などで顔を黒塗りし、黒人を揶揄したりしていた。現在では白人至上主義的な黒人への侮辱の象徴とされていて、GUCCIのセーターはそれを連想させるとして批判が殺到した。
この騒動について、遺伝子解析ベンチャービジネスを展開するジーンクエスト代表取締役社長の高橋祥子氏は「DNAの二重らせん構造を発見してノーベル賞を受賞したジェームズ・ワトソンが、『黒人は白人に比べて知能が劣っている』というような差別的な発言を繰り返して名誉職を剥奪された」と説明。
また、遺伝子研究の観点からは“多様性”が非常に重要だとし、「絶滅危惧種というのは、遺伝子の多様性が低いと言われている。ヒトは肌の色や体格、体質に多様性があるということで、生物として種の繁栄を担っているので、一部の性別や人種を差別していくのは危ういこと。どの疾患に対してもリスクが低い人というのは存在しないわけで、いろいろな特質を持っているヒトがいるべき」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)