水泳の池江璃花子選手(18)が12日、自身のTwitterで白血病と診断されたことを告白、国内外に大きな衝撃が走った。池江選手は4日に合宿先であるオーストラリアの病院で再検査を勧められ、8日に緊急帰国して再検査、白血病との診断を受け、現在は入院中だという。
同日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、血液内科が専門の濱木珠恵・ナビタスクリニック新宿院長と白血病サバイバーでタレントの友寄蓮さんに話を聞いた。
■「早期の発見だったということなので、良い状態で治療に入ることができるだろう」
濱木医師によると、白血病とは「血液細胞を作る元になっている"種"のような細胞が癌化、増殖してしまう病気のこと」を指し、「おかしくなってしまった細胞が骨髄性なのかリンパ性なのかによって『骨髄性白血病』『リンパ性白血病』という分類をする。また、悪い細胞だけがどんどん増えて正常な白血球や赤血球、血小板が作れなくなり、症状が急に進んでいくのを『急性白血病』、悪い細胞も増えるが、それなりに正常な細胞も作ることができるので、"悪いながらも横ばい"という感じになるのが『慢性白血病』となる。これらを見分けて治療法を考えていく」という。
現時点では池江選手の詳しい病状についてはわかっていない部分が多いが、日本水泳連盟は12日の会見で、池江選手が合宿中に体調不良を訴え、「今までに見たことがない、肩で呼吸をするような場面があった」と説明している。
濱木医師は「白血病の特徴の一つに、赤血球が作れなくなり、息苦しさを感じるという症状がある。体の重さを感じたり、微熱のような症状が出たりしていたようだが、これも白血病による症状だと思う。早めに治療を始めなければならないということなので、おそらく『急性白血病』に近いのではないだろうか」と推測。
その上で、急性白血病の場合の治療方針について「抗がん剤治療の点滴を受けることになると思う。輸血もキーになってくる。基本的には無菌室に入って合併症を起こさないようにし、1週間ぐらい抗がん剤を投与、その後1か月くらい様子を見て、回復してきたところでまた次のコースに行くというのを何度か繰り返しながら反応を見ていく。そして半年後ぐらいにきちんと白血病細胞が抑え込まれていて、自分で血液を作ることができるようになっているかを見ることになると思う。リハビリやトレーニングの再開はそこからだと思う。抗がん剤というと、強い吐き気というイメージがあると思うが、今は比較的抑えやすくなっているし、様々な抗生剤との組み合わせも分かってきている。急性だからダメだ、ということもなく、色々な治療法が出てきているので助かる確率はかなり高くなっている。それこそちょっとだるさを感じるというのは誰しも起きるし、単に寝不足や年のせいかなと考えてしまいがちなので最初のうちは分かりにくいが、早期の発見だったということなので、良い状態で治療に入ることができるだろう」と話した。
■「私の身体には100人以上の方の好意であり優しさが流れている」
「急性リンパ性白血病」だと診断されたのは高校2年生、16歳のときのこと。いわゆる「AYA(Adolescent and Young Adult)世代」(15~39歳)にあたり、年間で約2万1400人が「がん」の診断を受けている。とりわけ15歳~19歳で最も多いのが白血病なのだ。

「最初は風邪のような症状から始まって、病院でも風邪の診断を受けた。しかし風邪薬を飲んでも全然良くならず、息切れするようになった。決定的に"おかしい"と思ったのは、鼻血が止まらなくなったこと。それこそ壊れた蛇口のように、4時間くらい流れ続けた。さらに、脚に軽く触れただけで痣ができるようになった。"もしかしたら血液に異常があるんじゃないか"と思い、血液検査を受け、ようやく白血病だと判明した。ショックというよりも混乱したが、白血病だとわかるまでずっと体調が悪かったので、"これでようやく正しい治療が受けられるんだ"という安心感も同時に抱いた」。
しかし、抗がん剤による治療は、様々な副作用ももたらした。
「綺麗な坊主頭のイメージがあるかもしれないが、実際は刃物を頭に当てて剃ることもできないので、髪の毛がまばらな状態になる。また、食事が全然摂れないのに、大量のステロイド剤の摂取によって顔がまん丸に膨れ上がってしまう"ムーンフェイス"という状態になるので、周りに"思ったより元気そう"と思われるのが辛かった。私の場合、さらに口内炎が口内中にできてしまい、口が開けられなくなった。横になると口内炎から出た膿が喉に詰まってしまうので、寝ることもできず、喋ることもできず、ベッドを起こした状態で、膿を口から垂れ流しながら1週間くらい過ごした。その時の痛みと気持ち悪さは本当に言葉にできない。震える手で、母に"どうして私を病気に産んだの?"と書いてしまったことを覚えている」。
治療中、何度も「こんなに辛いならやめてしまいたい」とも思ったという友寄さんだが、「私も100回以上も輸血をしたので、私の身体には100人以上の方の好意であり優しさが流れていると思った。そう考えると、自然とパワーをもらっている気持ちになった」と振り返る。結果、1年4か月の入院生活を余儀なくされたものの、治療を負えてからは23歳になる現在まで再発することなく、寛解の状態が続いている。
友寄さんは最後に「今は余計な情報は耳に入れず、担当医の先生のお話を聞いて頑張ってほしい。そして池江選手を応援したいと思っている皆さんは、献血や骨髄バンクの登録で助けることができることを知ってほしい。輸血と聞くと、事故による大怪我などのイメージが大きいと思うが、実際は自力で血液が作れない患者たちが日常的に必要としている」と訴えた。番組には当事者からたちからも「献血はものすごくありがたい。僕も毎日輸血していた」といった声も寄せられていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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