こんにちは。青木真也です。若者が就職して、プレッシャーを感じている格闘ドカタです。
AbemaTVで放送された『格闘代理戦争』セカンドシーズンで青木推薦選手として、立派に迷走した椿飛鳥選手を覚えていますでしょうか。彼はその後も選手活動を懸命に続けていますが、プロデビュー戦で1R1本負けと一歩抜け出せない状態が続いております。先週、テクニックDVD制作の受け手をお願いしたときに、彼から就職先が決まったとの連絡を受けました。彼は今までアルバイトをしながら、練習優先して選手活動を続けていたのです。彼は僕の反応を気にしていたように思います。格闘技から逃げたと解釈されるんじゃないかと心配していたと思うのです。
僕は思わず、「良かったね。おめでとう」と伝えました。
格闘技選手として専業でやっていくには経済的にも、肉体的にも、精神的にも厳しさの連続です。一生を左右するようなケガをするリスク、死ぬ思いをして得たお金は飯を食えば終わりだったりもする、不安感はいつになっても襲ってきます。タフな極みの仕事だし、格差が話題にならないほどの格差社会で実力社会です。そこで生きる楽しさは、現在35歳の僕でもいまだに抜け出せないないほどにあります。けれど、失うものもきっちりとあるわけで、その取引ができるか否かは皆が悩むところです。
僕は格闘技選手としてやっているけれども、格闘技選手が凄いとも偉いとも思っていません。むしろ、普通に働けないからこれをやっていると思っているので、一般社会で生きている方々には頭がさがる思いです。格闘技選手はなるものではなく、どうしようもなくなるものです。勘違いしてはいけない。
それでも椿飛鳥は多くのファイターと同じように一回は専業のプロファイターを目指しました。懸命に目指して、足掻いたからこそ、見えてきたものがあって、仕事を持って格闘技を続けていく選択ができたのだと思うし、彼の決断を応援したいと思います。
翻って僕の場合、2月20日には『ストロング本能』(KADOKAWA)が出版され、3月31日にはONE日本大会と気を張る必要のある行事が続きますが、日々コツコツと頑張っていきます。今日も頑張ろう。
椿さんも2月28日に「ONE ウォーリアーシリーズ」で試合をします。放送はONEのアプリ内での放送になるのですが、ご興味ある方は是非どうぞ。モヤモヤする試合を見せてくれるはずです。頑張れよ。
文/青木真也(格闘家)
(C)AbemaTV