(前回のシングルマッチはグラウンドの攻防主体に。勝ったのは青木だがHARASHIMAの関節技も光った)
昨年夏からDDTに参戦しているMMAファイター・青木真也が、初のビッグマッチ登場を果たす。舞台は2月17日の両国国技館大会。HARASHIMAを挑戦者に迎えてのEXTREME級王座防衛戦だ。昨年10月、青木が後楽園ホール大会でベルトを巻いた時のチャンピオンがHARASHIMA。今回はリマッチとなる。
HARASHIMAとしては、DDTのベルトを“外敵”から奪還するのがテーマ。しかし勝った青木も前回の対戦について「やられたと思った。主導権を握られちゃいましたから」と語っており、単に受けて立つというわけではなさそうだ。
(3月には同じ両国でMMAイベントONE Championshipのタイトル戦も控えている青木)
このEXTREME級は、チャンピオンが試合ごとにルールを設定できるという独自のタイトル。今回、青木が指定したのは「お互いのプライドがルール」というものだ。伝説の巌流島決戦、アントニオ猪木vsマサ斎藤のルールであり、プロレスならではの曖昧さ、含みをもたせている。
前回は通常のプロレスルールだったが、その時の青木は曖昧さを嫌い書面でのルール提示を要求していた。現在の変化について、HARASHIMAは「(今の青木は)いろんな投げ技や場外乱闘を仕掛けたり、プロレスの幅を広げている感じがしますね」と語っている。一方の青木は、ルールについて「闘いの品格みたいなことが問われる」と言う。「美しさ」という言葉も使った。見せたいのは「強いDDT」、“闘い”のあるプロレスだ。
(神田明神で行なわれた会見には青木は出席せず。DDTとの折衷点を見出しつつも打ち解けようとはしていない)
前回はHARASHIMAが青木と関節の取り合いを展開。結果として敗れたが、その実力をあらためて知らしめた試合でもあった。総合格闘技、あるいは柔術的な動きを使ってグラウンドを組み立てるのはHARASHIMAの持ち味なのだ。その一方で路上プロレスや“目隠し乳隠しデスマッチ”などDDTならではの試合も十八番にしている。
では青木は、今回の防衛戦で何を見せるのか。DDTでの自分を「異物」と表現している青木。プロレスの曖昧さ、幅広さを際立たせるルールをあえて設定し、その中で「品格」と「闘い」、そして「美しさ」をどう表現するのか。どこまでDDTの“中”に踏み込むのか。そしてそれにHARASHIMAがどう応えるかまで含め、読み解きがいのあるタイトルマッチになりそうだ。
文・橋本宗洋
写真:(C)DDTプロレスリング
(C)AbemaTV




