”ジグソーパズルの最後のピース”同性婚を求め提訴した原告の思いとは
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 「同性婚を認めないのは憲法違反だ」。全国13組の同性カップルが14日、国を相手どって一斉に提訴した。同性婚を認めるよう求めた訴訟は日本で初となる。

 訴訟に加わった大江千束さん(59)と小川葉子さん(55)のカップルは先月17日、東京・中野区に婚姻届を提出した。しかし同性同士であることを理由に受理をしてもらえなかったという。小川さんと25年にわたって暮らしてきたという大江さんは「私どもの横で男女のカップルが婚姻届を出している。当たり前のように受理されて、カップルとしての新しい戸籍が発生していく。それひとつとっても違うんだなと」と残念そうに話した。

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 5年前に結婚式を挙げた相場謙治さん(40)と古積健さん(45)のカップルも原告に加わっている。11年前に友人を通じて知り合い、翌年から同居を始めた2人は、家族や職場にも関係をオープンにするなど、一生を共にする覚悟で暮らしてきた。

 そんな2人が原告に加わることを決めたのは、その結婚式がきっかけだったという。外資系IT企業に勤める相場さんは「物心ついた頃からゲイだったので、結婚というのは男女のもので、自分が欲しちゃいけないものだと思って生きてきた。でも、2012年に会社の制度が変わって、同性パートナーにも結婚祝い金が出ることになった。同性であっても権利をいただけることを知り、そこから意識が変わった」と話す。会社の後押しもあり、結婚式を挙げることを決めたものの、式場に断られるという経験もした。「男女を前提としたパッケージになっているので、一つ一つ交渉し、"新郎新婦"は"新郎新郎"に変えようとか、少しずつ変えていった」と相場さんは振り返る。

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 同性カップルたちが婚姻にこだわる理由には、将来のリスクに備えたいという思いもある。社会保険や配偶者控除、配偶者ビザ、病院での面会・手術合意、法定相続権・遺留分、相続税の税額軽減など、異性愛者が婚姻を通して当たり前のように享受できる権利の数々が認められいのだ。

 「賃貸物件が借りられなかったり、保証人を親族にしてくださいと言われたりした。生命保険の受け取り人についても年末調整で控除が受けられなかったということもあった。今は健康だから良いが、今のままではICU(集中治療室)で面会できないし、手術の同意もできない。今は私の持ち家に住んでいるが、例えば私が死んでしまっても相続ができない」と相場さん。

 そして相場さんと古積さんカップルも婚姻届を役所に提出し、不受理となった経験を持つ。不受理証明書には、理由として「男性同士を当事者とする本件婚姻届は不適法であるから、受理することはできない」と記されている。

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 古積さんは「99.9%の確率で不受理となることはわかっていたが、0.1%の淡い期待もあったので、残念なところもある。ただ、裁判のために不受理証明書をもらうという目的もあったので、いよいよ戦いが始まるんだなという意識も出てきた」、相場さんも「予想はしていたが、不適法という文字を読むとショックな気持ちが大きかった。自治体によっては『"婚おめでとうございます。ただ現在の法律では受理はできません"と言ってくれるところもあったが、そういう言葉はなく事務的だった。でも真摯に対応はいただいた」と話す。

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 その上で、今回の訴訟について2人は「そっとしておいてほしいというセクシュアルマイノリティの人たちがいるのは事実で理解はしているつもりだが、でもだからといって制度を作る・作らないというものではなく、制度があって選択肢がある状態というのがあるべき姿だと思う。同性婚の制度ができれば教育も変わってくるはず。周りの目が変わるし、当事者自身の意識も変わってくると思う。最高裁までいくような長い戦いになると思うが、我々だけでなく日本全国のセクシュアルマイノリティの方々のためにも頑張っていきたい」(相場さん)、「私たちが幼い頃から失ってきた尊厳を取り戻すような戦いになる。ジグソーパズルのピースがどんどん埋まっていく中、最後の1ピースが残っていて、この国の法律。これができればパズルが完成する。提訴をすることがその手助けになると思っている」(古積さん)と話した。

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 ノンフィクションライターの石戸諭氏は「婚姻によって手厚い保護を受けているということは異性愛者にとって当たり前なので、それが無いという痛みになかなか気付けない。パートナーと生活するという意味では同じなのに、それが同性というだけで認められないのはおかしいし、本来ならしなくていい心配をしているということ。それを軽減するのが政治であり、立法の仕事だ。だから大事なのは、この憲法訴訟の後だと思う。今国会で議論したっていい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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