昨年のふるさと納税実績は「171カ所、約3000万円」 控除に加え「返礼品だけで食べていける」は“金持ち優遇”なのか?
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 ふるさと納税受け入れ額が135億円で全国1位の大阪府泉佐野市と国の間で勃発した、ふるさと納税の「返礼品」を巡る議論が過熱している。

 石田真敏総務大臣は「自分のところだけが良ければ他の自治体への影響は関係がないという身勝手な考えであり、このような考えがまかり通れば、社会的にも教育的にも悪影響が大きい」と是正を促せば、泉佐野市の千代松大耕市長は「なりふり構わず強引に地方をコントロールしようという総務省のやり方は、ふるさと納税以前に地方創生の趣旨に反している」と反論しており、両者の主張は真っ向から対立。そんな中、15日金曜日には、ふるさと納税の規制を定めた地方税法改正案が審議入りし、安倍総理はその席で「寄付金の募集を適正に行う地方団体が切磋琢磨できる環境を整えたい」と話した。改正後のルールは以下の4点になる。

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(改正後)

・各自治体は返礼品の申請が必要

・返礼品は寄付金の3割以下で地場産品

・守らなかった地域は2年間制度の対象外

・守らなかった寄付者も税の優遇対象外

 17日に放送された「Abema的ニュースショー」では、話題の泉佐野市で市民に取材を行った。その結果、「私はいいと思う。市民のためにそういうことをやってくれていると理解している」という声もあれば、「やりすぎかなと思うけど、国でまだ何も決まっていない」など、事態の推移を見守りたいとする声も聞かれた。

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 2008年に「ゆかりある市町村など」に寄付をすると税金が安くなることを名目に始まったふるさと納税。あるグループ企業のオーナーであり、ふるさと納税の達人でもある金森重樹さんは「高所得者にとっては節税的にうまみがある」と話す。金森氏の昨年のふるさと納税の実績は「171カ所、金額にして3066万2000円」にのぼり、「返礼品だけで充分食べていける」と明かした。「犬の殺処分禁止とか、子どものためのスクールバスなど、目的指定ができるのはいい制度だ」と寄付の使い道を指示できることを活用理由の一つに挙げた金森氏は、今回の制度の改定について「中央官庁の妬み。市場原理に任せて水を差さない方が、かえってふるさと納税というパイ全体が広まって最終的にはいい結果になると思う」と私見を述べた。

 現制度の現状に疑問を呈したのは、自身も同制度の創設にかかわった経緯のある国際政治学者の舛添要一氏だ。舛添氏は「もはや金持ちのためのカタログショッピングとなっており即刻廃止すべき」と主張すると「(国からの)地方交付税などもあるが、地方は疲弊している。だから税金の一部を自分の故郷にあげようということで始まった。普段私たちが払っている地方税の1割までは控除される仕組みだが、その時点で既にインセンティブが発生している。税金と呼ばれているが、同制度は基本的には寄付扱い。地方税法の中には寄付をすると税金が安くなるという制度があり、その制度と連続する話。寄付をされた側は御礼をあげることが可能だが、返礼品競争だけが過熱している」と問題点を指摘した。

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 2008年のふるさと納税開始当初はおよそ81億円だった受入額(受入件数は5万4千件)は、2017年度にはおよそ3653億円(受入件数1730万件)にまで膨らんだ。ある地域にはプラスを生んだが、その一方、舛添氏が住む東京・世田谷区などに代表されるように減収になった市町村もあり、その点については「受益者負担」という税金の大原則を無視しており、「公平、中立、公正」の観点からも問題だと続けた。

 また年収500万円の30歳独身男性を例に挙げ、ふるさと納税を行うとおよそ6万円の得になると話した舛添氏は、(未婚でも既婚でも)年収1500万円ではおよそ60万円、仮に年収3000万であれば約100万円も得すること(節税)になり、結果「金持ち優遇」になると問題を指摘した一方、寄付に対して5割ほどの高い割合の返礼品で受入額を増やした福島県広野町について言及し、「真面目に3割を守った結果、受入額が20分の一に激減した。結局は寄付する側も寄付ではなく、返礼品が目当てなだけ」と話し、ふるさと納税を利用する側に意識の変化を求めた。

(C)AbemaTV


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