(一夜明け会見、写真撮影時の赤井はテーブルの上でこのポーズ。ベルト奪取以降、存在感が増しているのは間違いない)
アイアンマンヘビーメタル級王座をかけた時間差入場バトルロイヤルは、DDTビッグマッチの名物とも言える試合だ。数多くの選手が時間差で次々と入場、いつでも、どこでも誰でも挑戦可能なベルトをめぐって最後の一人になるまで闘い続ける。たくさんの選手が登場するだけに見ていて楽しい試合ではあるが、選手にとっては見せ場が少なくなる可能性も。だが赤井沙希は、そんな試合に出ることを「ラッキー」だと語った。
2月17日のDDT両国国技館大会でのアイアンマンランブル参戦を前に、赤井は公開練習を行なっている。そこで披露されたのが、舞台出演をきっかけに身につけた新技。役名と同じケツァル・コアトルと命名されたこの技に、赤井は強い思い入れがあった。
舞台でもプロレスを取り入れたアクションを展開、「舞台がきっかけでプロレスを見に来てくれる人たちにベルト姿を見せたい」と意気込んでいた赤井。芸能界からプロレスに挑戦している自分が発信することで、DDTのプロレスを広めていきたいという気持ちを抱き続けてきた。今回の舞台出演と新技開発は、その絶好の機会。DDTらしい王座をかけての闘いは、DDT初体験のファンに見てもらうにはうってつけと考えた。だから「ラッキー」なのだ。
総勢17人もの選手が入り乱れてのカオスな闘いは、初参戦の魔苦・怒鳴門が白昼堂々シモネタを展開すれば、平田一喜はとにかく踊りつつ試合開始時のチャンピオン・朱崇花をフォール。そして新王者となった平田に赤井がケツァル・コアトルを決めて試合終了となった。試合後のインタビュースペースで、赤井はもう一つの思いも口にした。
(新技ケツァル・コアトルで勝負を決めた赤井。この体勢から前方に一回転して相手を叩きつける)
「最近はポスターの(自分の写真の)大きさも気になっていました。ポスターにいない時もあって。自分の思いと存在がなかなか合わない。自分の居場所がないなら、ベルトを持って居場所を作るしかない」
DDTの象徴だと考えているベルトを奪取することは、赤井にとってプロレスラーとしての存在を証明するためにも重要なことだったのだ。
大会翌日の一夜明け会見にも赤井は登場。両国はデビュー戦を行なった思い出の会場でもあるが、今回は「見える景色が全然違いました」と成長を感じたようだ。また朱崇花とは今後も闘いたいと言う一方、魔苦・怒鳴門には「同じ空気を吸いたくない。事務所的にもお下劣はダメなので」と共演NG。
ちなみに会見中の赤井は“ここが自分の居場所”とばかりテーブルの前にイスを持ち出し、足を頻繁に組み替えて『氷の微笑』のシャロン・ストーンばりに美脚をアピール。アイアンマン王座戦線を、まずは自分の色に染めていったのだった。
文・橋本宗洋
写真/DDTプロレスリング
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