今月9日、デビュー7周年を迎えたAV女優の紗倉まな。2012年、18歳で業界に飛び込んで以来トップランナーとして走り続けながら、テレビ・ラジオなどへと活動の場を広げてきた。さらに執筆した小説は映画原作にもなり、文筆家としても高い評価を得ている。
"えろ屋"を自称、アダルトに軸足を置きつつ多彩な顔を見せる、その原動力とは?
ーー紗倉さんを知る人は、皆さん口を揃えて「真面目で勉強熱心な人だ」と(笑)。
紗倉:いえいえ(笑)。20歳くらいまで、メディアにもそれ程興味がなく、味気ない生活だったんです。そこからありがたいことに色々な機会を頂いて、皆さんに大海に連れて行っていただいたというか。その経験をさせて戴いたので、より多くの事を学び、私からも発信していきたいという気持ちに繋がっています。
もちろん今でも主軸はアダルトですけれど、違うジャンルの仕事をする事により、自分の仕事を客観的に見ることができるようになりました。私は"AV村"と呼んでいるんですが、村から一歩出ると"当たり前"が決して当たり前ではないということや、私自身が武器だと思っていたものが通用しない、共感を呼ばない事もあると学びました。常識や、"線引き"というものが業界によって全く違うんだな、ということを知ることができました。
もともと私は人と対話すること自体がとても苦手なんです。"一度投げかけたら、もうキャンセルできない…"と思うと、相手への言葉を選ぶのに時間がかかってしまって…。ありがたい事に最近では生放送に出演させていただくことが増えて、自分の思考を意見として端的にまとめる事がいかに難しいかを実感しております。しかも映像に残るとなると特に緊張します(笑)。
それに比べると、文章は削って、磨いて、ということが何度でもできますから。Twitterも考えながらどんどん発信できるので好きです。
ーー皆さんが恋愛や性の問題をオープンに語れるような社会になってきていますし、女性の働き方、セカンドキャリアの話なども、紗倉さんだからこそ説得力を持っているのかなと。
紗倉:そう思っていただけるのであれば、すごくありがたいですね。一方で、ネット上で厳しい言葉をあびることもあります。ですので、言葉選びには一層気をつけないとな、と思っています。
ーーそんな中で自分の意見を伝えるのは、とても勇気の要ることだと思います。
紗倉:人間としてまだまだなので、これでいいのだろうかと、この表現は適切だろうか、といつも悩んでいます。常にいっぱいいっぱいです(笑)。
ーかつてVHSが普及した理由の一つにアダルトコンテンツがあったといいます。今もコンテンツビジネスだったり、VRだったり、新しい仕組みや技術はアダルトの分野から応用される事は多いです。そういう分野でも紗倉さんの意見は貴重ですよね。
紗倉:確かに、色々なものを素早く取り込むのが上手な業界ですよね。逆に流行り廃りの早い業界とも言えるのかな。
たくさんの経験をさせていただき、私はこの業界を客観的に見ることができるようになったからこそ、こういう部分はいいところだけど、これはどうなんだろう、変えていかないといけないな、と思うことがあります。
アダルト業界が注目される事の多い今、その中でどう意見を言うべきかは、いつも悩みます。自分を育ててくれた業界に恩返しをしたいので、皆さんと業界をつなぐ橋渡しが私なりにできればと思っています。
ーー昨年10月からはAbemaTV『AbemaPrime』の金曜レギュラー(アンカー)としても出演されています。AbemaTVはどんな場所ですか?
紗倉:初めて"上京"した時のような感覚ですかね(笑)。
ーー上京!?
紗倉:AV女優って、表に出るべきではないし、出ないことが美徳なんだ、という考えをお持ちの方も少なからずいらっしゃいます。だから自分の居場所があるようでなかったという感覚があって。
それが『AbemaPrime』では、"席を一つ空けておいたんで、よかったら来て下さいね"という空気を感じるので、すごく嬉しいです。地上波ではあまり掘り下げられずに放置されるテーマや、扱いづらいテーマ、私自身がもっと知りたいなと思うようなことも扱っているし、"これで良いんだ、こういうことを言っても大丈夫なんだ"って思える環境にいれることが何よりありがたいです。
AbemaTVというメディアがあるということで、活躍できる場が増えて、救われたと感じている女優さんは他にもいると思います。
ーー28日からは、橋下徹さんが弁護士や元政治家の立場から時事問題を斬る『NewsBAR橋下』のレギュラー(アシスタント)に就任されます。以前ゲストとして出演されたときにも、違法ダウンロードの問題や、コンテンツづくりに関わる人材が減っていってしまうことへの危機感を訴えていらっしゃいました。どんなテーマのお話を聞いてみたいですか。
紗倉:やっぱりネットを使う人がこれだけ増えて、急かされるように生きている人や、使えないと取り残されてしまう様な危機感を感じている方は多いと思うんです。しかもネットでのトラブルも日々起きていて、人の人生が一発で変わってしまうこともある程、大きな影響力があるんだと常に感じています。それなのに、あまり法律や規制が追いついていないんじゃないかと感じています。
それでも使っている人はたくさんいる、という。アダルト業界としてもそれは他人事ではないと思います。そういう問題について、橋下さんやゲストの方々と一緒に考える機会にできたらいいですね。とはいえ私はとてつもないアナログ人間なんですが(笑)。
ゲストの方も皆さん豪華なので、お話の中から実際に世の中が少しでも動く瞬間を感じられたら嬉しいです。
ーーお仕事ごとにモードを切り替えないといけないでしょうし、かなり忙しいのではないですか。気分転換にしていることは?
紗倉:健康管理と気分転換の為、定期的に整体に行っています。針を打っているときが一番リラックスできます(笑)。でも最近、整体師さんが私の身体に触れた瞬間、"うわ、硬っ!"って。知らず知らずのうちにガタが来ているのかな?そろそろ生活を見直した方がいいんですかね~(マネージャーさんと顔を見合わせ爆笑)。
■プロフィール
工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。
2015年にはスカパー!アダルト放送大賞で史上初の三冠を達成する。
初めて書き下ろした小説『最低。』は瀬々敬久監督により映画化され、東京国際映画祭にノミネートされるなど話題となった。
その後、文芸誌「群像」にて短編小説『春、死なん』を発表。AV女優として異例のニュース番組レギュラーコメンテーターに抜擢。
近年は大学での講義もこなし、文化人としての顔も持つ現役エロ屋。
▶新アシスタントに就任!『NewsBAR橋下』は毎週木曜夜11時から
▶紗倉まながレギュラーを務める『AbemaPrime』は毎週金曜夜9時から
■Pick Up